カレー×かき氷 バングラ支援のNPOが販売 不思議な辛さと清涼感「いっぺん食べて」

2025.08.31
地域注目観光

 カレー×かき氷=? 兵庫県丹波篠山市にあるNPO法人「バングラデシュの村を良くする会P・U・S」の代表、岩下八司さん(76)が、本場仕込みのカレーと丹波篠山特産の黒大豆の煮豆を組み合わせた「バングラカレーかき氷」を制作。拠点施設「だいじょうぶ屋」(同市二階町)で販売している。まだまだ暑い季節に食欲をそそるスパイシーなカレーと優しい甘さの黒大豆、ひんやり冷たいかき氷が器の中でコラボ。摩訶不思議な一品を手にほほ笑む岩下さんは、「おもろいかなあと思って作ってみたら、意外といける。いっぺん食べてみてください」。もちろん、お代はバングラの子どもたちの支援に―。

腕を振るう岩下さんが満面の笑みを浮かべながら言った。「新商品、食べてみる?」―。恐る恐る口に入れてみると、一瞬、味覚がパニックに陥った後、不思議な辛さと清涼感が広がった。「なかなかのもんやろ」

水を使わず、新鮮な鶏肉とタマネギや季節の地野菜、カルダモンやウコン、シナモンなど6種類のスパイスを入れて作るバングラカレー。同国での活動の中で学んだ家庭の味は、深いこくとすっきりとした辛さが特徴だ。

普段は、デニッシュ状のナンに似たパン「ポロタ」と共にバングラカレーセット(800円)として販売。近年、交流サイト(SNS)を中心に人気が広がっており、遠く九州などから食べに来る人もいるという。

新商品のカレーかき氷は2層構造。下部にはかき氷と甘く似た黒大豆を入れ、最後にバングラカレーをかける。

おすすめの食べ方は混ぜないこと。上部は氷と共に冷たいカレーとして味わい、スパイスの香りと辛さを口に残した状態で、甘い黒大豆と氷を味わう。辛いのに甘いという他にはない味が楽しめ、岩下さんは、「混ぜてしもたら、よく分からん味になる」と笑う。

継続的に取り組んでいる能登半島地震の被災地支援で炊き出しを行うことになり、暑い夏にぴったりのかき氷を提供。そして、機械が削り出す氷を見ながら思った。「カレーをかけたらどうやろう」―。支援活動が思わぬ発想をもたらした。

「自分も食べるまでは、カレーとかき氷は合わないというイメージがあった。でも、食べてみたらおいしい。思い込みはあきませんな」

バングラカレーかき氷を販売している岩下さんと妻の啓子さん=兵庫県丹波篠山市二階町で

岩下さんと妻の啓子さん(76)は、40年前から「アジア最貧国」とも言われるバングラデシュで暮らす子どもたちの支援にと自費や個人、企業の寄付を募って学校を建てたり、学校に通う費用を工面したりしている。

建設を予定している学校も含めると、その数なんと46校。卒業した子どもたちは1万人を超える。長年にわたって支援を続ける理由は、「子どもたちの笑顔が見たいから」だ。

だいじょうぶ屋ではカレーセットや熊本地震での支援活動がきっかけでつながった同県西原村のNPO法人「にしはらたんぽぽハウス」の協力を得て作ったレトルトカレー、同国の人々などが作る衣類や雑貨などを販売しており、売り上げを支援に充てている。

岩下さんは、「このかき氷も支援につながる。どんな味か楽しんでもらいながら、活動も応援してもらえたらうれしい」と笑顔を浮かべている。

バングラカレーかき氷は400円。営業は午前10時―午後5時。火曜日定休。

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