兵庫県丹波市市島町鴨庄地区でかつて歌い、踊られていた「鴨庄音頭」が、23日に旧鴨庄小グラウンドで行われた「ふるさと夏まつり」(実行委員会主催)で復活した。地元有志の「鴨庄音頭を復刻する会」(10人)が、消えかかっていた手がかりをパズルのピースのように集め、約1年がかりで完成にこぎつけた。やぐらを囲み、生歌と和太鼓の演奏に合わせて踊り手の輪が広がり、リーダーの高見増雄さん(77)は「多くの人が踊ってくれてうれしい。大成功」と感無量の様子だった。
同会は昨年9月に発足。当初、音源は閉校した鴨庄小学校でテープが1本見つかっていたが、書いた歌詞はなかった。今年1月に丹波新聞が活動を紹介したところ、市内在住者から「歌詞の資料を持っている」と情報提供があり、1―10番までが判明した。
歌詞の原作は〝丹波の農聖〟と呼ばれた吉見伝左衛門が1942年(昭和17)に制作し、84年(同59)に息子の吉見文憲さんが時代に合わせて一部編集して発表したもの。同会の月例会では、歌詞の意味の解釈も進めてきた。鴨庄の由緒や風景、文化などが盛り込まれており、「村の発展を願う心が込められた深い歌詞。鴨庄の歌としてみんなに知ってもらいたい」と高見さんは話す。
振り付けを担当したのは、踊り師匠の松岡美保さん(57)。最初は高見さんらが、部分的に覚えていた90歳以上の高齢者5人から聞き取った動きをつないでいった。そうこうするうち、平成の初め頃に小学校の運動会で踊っているビデオが見つかり、一気に解明が進んだ。
元は神様にささげる踊りだったと思われるゆったりとしたリズムだったが、現代感覚で踊りやすいようアレンジも。「手数を増やし、前へ進める動きになるよう考えた」と松岡さん。
復刻する会メンバーの秋山知美さん(45)がパソコンで音源を制作し、全体像が完成。7月中旬から鴨庄コミュニティセンターで4回の練習を実施し、本番に臨んだ。
まつり本番は、秋山さんと永井豊さん(71)がやぐらの上で声を張り上げて歌い、正法寺副住職の仲江良孝さん(30)が力強く和太鼓をたたいて盛り上げた。
浴衣姿で踊りをリードした、北奥前地の「前扇会」会員の髙見けい子さん(77)は「昔踊ったことがあり、楽しかった。テンポが少し速くなって踊りやすかった」。姉妹と友人とで参加した女性(44)は「小学校で運動会用に教えてもらったので歌を覚えていた。懐かしかった」と笑顔だった。


























