ニホンザル彫刻で次席 木彫り歴25年の85歳男性 養父市の全国公募展

2025.09.23
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木彫に25年、親しむ北川さん=兵庫県丹波篠山市西古佐で

全国公募展「木彫フォークアートおおや」(同実行委、兵庫県養父市主催)で、木彫歴25年の北川敏彦さん(85)=丹波市柏原町=の作品「めざせリーダー」が、次席に当たる養父市ふるさと賞(県知事賞)に輝いた。今にも獲物に襲いかかりそうなニホンザルの写真を図案化し、毛並みの表現にもこだわった作品。過去25回ほど出展した中で、入選は何度も経験したが、今回大きく飛躍した。「年齢的に最後の大作になると思っていたが、結果にびっくり。制作の励みになる」と喜んでいる。

幅、奥行き、高さの合計が120センチ以内という規定。全国から96点の出展があった。
クスノキ材を2つ合わせた「寄せ木造り」で、のみで彫り進めた後、アクリル絵の具を塗って仕上げた。とりわけサルの体の表現にこだわり、体毛の“ざらざら感”を出すため、のみで彫った跡を残しつつ、後でアクリル絵の具が塗りにくくならない程度に彫るバランスが難しかったという。

 

養父市ふるさと賞(県知事賞)に輝いた北川さんの作品(同市提供)

体毛の一本一本にこだわって塗ったが、途中で「サルの木彫作品が少ない理由に気付いた」と笑う。「白や茶、グレーなどさまざまな色があり、そこに毛の長短の表現も加わる。複雑怪奇で、大変苦労した」と話す。

昨年、制作を始めたものの体調を崩し、中断していた。今年になって再開し、完成にこぎつけた。タイトルは、写真で見たサルが「尻を上げ、顔を突き出す姿に、リーダーを狙う意欲を感じた」(北川さん)ことが理由。

新聞で木彫の写真を見たのをきっかけに60歳から制作を始めた。以降、彫刻家、磯尾柏里さん(66)=丹波市柏原町=らに指導を受け親しんできた。現在は、磯尾さんが指導する丹波並木道中央公園の彫刻教室に週1回通って技術を磨いている。

磯尾さんは「独創性の強い作品を作る方で、人のまねは絶対しない」と評する。「今回はストレートに表現したのが評価されたと思う」と話す。

北川さんは「自分は何を表現しようとしているのかという心理面も大事に制作を続けてきた」と語る。「次は地域で受け継がれてきた村祭りを表現した作品を作りたい」と意欲を示している。

同公募展の展覧会が28日まで、おおやホール(養父市大屋町)で開かれている。午前9時―午後5時(最終日は4時半)。

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