愛犬と過ごせる宿が好評 築100年超の古民家改修 一日1組一棟貸し「yaya」

2025.09.03
丹波篠山市地域

「愛犬との特別な時間を過ごして」。オーナーの和田さんと愛犬の伽羅=兵庫県丹波篠山市安口で

一日1組限定で愛犬と泊まれる古民家の宿「yaya(ヤヤ)」(兵庫県丹波篠山市安口)が、都市部の愛犬家たちから好評だ。今年1月にオープン。大型犬が走り回っても余りある広い芝生敷きの庭に、築100年を超えた日本家屋の趣を生かしながらもモダンな空気をまとう選び抜いた家具や照明、オブジェをしつらえており、人にも犬にも癒やしのひとときを提供している。オーナーの和田杏子さん(43)は、「愛犬と一緒に一棟貸し切りのプライベート空間を存分に堪能してほしい。yayaで過ごした時間が特別な思い出になれば」と話している。

宿泊棟(母屋)は黒光りする太い梁や柱、職人の手仕事の妙を感じられる土壁に、1世紀前にタイムスリップしたかのような感覚になる。向かい合う土蔵・納屋の間には約480平方メートルの芝生敷きの中庭があり、元気に走り回る愛犬の姿を見守ることができる。また、すっくと立つ柿の木が、夏は木陰を、葉を落とす冬には陽だまりを提供してくれる。

このほか、窓から中庭の景色が眺められる広々としたバスルームや、仲間とにぎやかに調理を楽しめる大きなキッチンカウンターがある。食器類は丹波焼にこだわった。

宿の名前「yaya」は「ややこしい」に由来。2020年に飼い始めた和田さんの愛犬でゴールデン・レトリバーの伽羅(きゃら、雌・5歳)が「実にややこしい犬だった」。

落ち着いた雰囲気の室内

宿を始める前は大阪市北区で暮らしていた。伽羅は車や人におびえ、都会になじめない性格だった。そのため常にストレスを抱え、時折、和田さんにまで牙をむくこともあった。「それでもかわいい愛犬。ややこしい子ほど愛おしい」と傍らの伽羅に目を向ける和田さん。「都市部では、同じような問題を抱える犬が多いのでは」と考えるようになり、体の大きさや犬種に制限なく、施設内をノーリードで滞在でき、都会の喧騒から離れて、人も犬もゆっくり、ゆったりとくつろげる場所をつくりたいと思うようになった。

「石橋をたたいて渡る慎重な性格。思いはあってもなかなか動き出せずにいた」と和田さん。しかし、夫の啓資さん(50)は真逆で、走りながら考えるタイプ。妻の思いに、すぐに行動を開始し、物件探しに奔走。重要伝統的建造物群保存地区に立つこの古民家にたどり着いた。

「ご近所の皆さんにも助けていただき、宿を開くことができた」と感謝し、「ここで暮らし始めてから伽羅もずいぶんと落ち着いてきた」とほほ笑む。
“人間”のみの利用も歓迎。最大8人まで利用が可能。犬は最大4頭まで(基本)。

詳細はインスタグラム。

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