兵庫県レッドデータブックBランクに指定されている腐生植物「ヒナノシャクジョウ」(ヒナノシャクジョウ科)が、同県丹波篠山市今田町の雑木林で確認された。草丈3センチほどの小さな植物で、透き通るような白い姿が薄暗い林床に点在している。
本紙記者が雑木林に発生したキノコを取材している際に見つけた。林内をちょろちょろと流れる幅約50センチほどの沢の両岸約15メートルにわたって20本ほどが確認できた。
漢字で「雛の錫杖」と書く。「菌従属栄養植物」で、葉緑素を持たないため光合成をせず、菌類(キノコの仲間)から栄養を得て生育している。8―10月にかけて見られ、短い茎の先端に筒状の花が10個前後集まっている。国内では、本州(関東以西)、四国、九州、沖縄県に分布。
2003年に、篠山自然の会メンバーの谷口次男さん(同市西新町)が筱見四十八滝(同市上筱見)で、15年には丹波自然友の会の金川文雄さん(丹波市春日町山田)が丹波市内のヒノキ林で発見している。
人と自然の博物館(同県三田市)の標本庫に姫路市、神河町、多可町、加東市、三木市、三田市、神戸市、洲本市、南あわじ市の標本はあるが、丹波地域産のものはなかったため、このほど、同博物館研究員で植物分類学を専門とする鈴木武さん(63)が今田町の現場を訪れ、数本を標本として採集した。
鈴木研究員は、「小さいため見つけにくい。あちらこちらで生えている可能性があるので、山仕事やこれからのキノコ狩りの際、少し気にかけてもらえれば見つけられるかもしれない」と話し、情報を求めている。


























