老朽鳥居を一人で復元 伐採から塗装まで手掛ける 「今まで神社おろそかに」

2025.09.10
丹波篠山市地域

木材の切り出しから塗装まで1人で製作した稲荷神社の鳥居と小山さん=兵庫県丹波篠山市矢代新で

兵庫県丹波篠山市矢代新の小山文博さん(73)が同集落内にある大歳神社境内の稲荷神社の鳥居1基を1人で製作した。「日曜大工で家の棚を作るくらいの素人」という小山さんが木の切り出しから色塗りまで、およそ4カ月かけてこつこつと作り上げた。小山さんは「今まで神社をおろそかにしてきた。このままで良いのかとの思いがあった」と動機を語り、完成を喜んでいる。

稲荷神社の鳥居は老朽化した2本の柱がようやく立っているような状態だった。自治会長を務める小山さんは、復元するのに集落で購入することも考えたが、7世帯のみの自治会で、1軒当たりの負担が大きいこともあり、一肌脱ぐことにした。

老朽化した復元前の鳥居(提供)

以前とほぼ同じサイズの地上高約2メートルの鳥居を製作。デザインや構造はインターネットで調べたり、近隣の神社の鳥居を参考にしたりした。

神社近くの共有林から直径8―10センチのスギ2本を切り出し、なたで表皮を削り、磨いた。丸太は両柱と、上部の横木「笠木」に使用。柱をつなぐ板状の貫はホームセンターで購入した。くぎやボルトを使わず、ほぞとほぞ穴を加工。柱と貫の接合部分にくさびを打ち付けた。「貫を通すための柱のほぞ穴加工が最も難しかった」という。

「バイクや車を塗って遊んでいた」ことがあり、自宅の屋根を塗装したこともあるという小山さん。柱下部の黒色はスプレーで、朱色塗装は、はけで丁寧に仕上げた。材料費は全部で3500円で済んだ。

6月28日に完成。7月の強い風雨で鳥居近くの社務所とカシの大木が倒れたが、鳥居は無事だった。12月の「おとうまつり」で完成式を行う予定。

 

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