近畿3例目の認定 「グリーンファームささやま」 農水省の「実施計画」 衛星画像の生育データ分析 品質や収益性向上へ

2025.09.28
丹波篠山市地域地域注目自然

旺盛に茂った黒大豆畑で、農水省「生産方式革新実施計画」の認定証を手にするグリーンファームささやまの辻井社長(左)と社員=兵庫県丹波篠山市小野奥谷で

兵庫県丹波篠山市の特産物を中心に栽培や作業受託を行っている有限会社グリーンファームささやま(同市細工所、辻井昭文社長、6人)が、農林水産省の「生産方式革新実施計画」の認定を受けた。近畿で3例目。衛星画像を用いた、ほ場ごとの生育データを他の生産者と共有・分析し、ドローンを用いて適期防除を行うことで、労働負荷の軽減と品質・収益性の向上が見込める、とした計画が認められた。

生産性向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(スマート農業技術活用促進法)に基づく施策の一つ。農業者の減少など環境の変化に対応することを目的に、昨年10月から運用している。認定を受けた事業者は、日本政策金融公庫の長期低金利融資や、税制の優遇措置、行政手続きの簡素化といったメリットがある。

同社は、市とJA丹波ささやまの出資法人。経営規模(2024年度実績)は、水稲20・5ヘクタール、稲WCS(稲発酵粗飼料)5・2ヘクタール、黒豆4・5ヘクタール。同市八上地区から市内東部を中心に複数の農地を借り受けている。

水稲、稲WCSの栽培管理に、衛星画像による栽培管理支援システム「ザルビオ」を用いて、ほ場の地力マップに基づく適正な元肥設計、生育マップに基づく追肥の実施に力を入れてきた。しかし、重労働の施肥作業は機械化が進んでおらず、人手も不足していることから、適期に追肥作業が実施できず、生産性や品質に影響を及ぼしている。黒豆栽培では、同システムを有効活用できておらず、防除作業も機械導入が進んでいないため、動力噴霧器を背負って農地に入っているのが現状。

また、同社ほ場の周辺地域では、高齢化による人手不足が顕著で、今後、地域の担い手への農地預託が増加することが見込まれるため、作物の生産性維持・向上の観点から、より一層、労働負荷の軽減や作業時間の縮減が求められているという。

これらの経営課題を踏まえ、策定した計画では、稲WCS、黒枝豆・黒大豆の栽培において、ザルビオから得た、ほ場ごとの生育データをJAなどの営農関係機関や周辺地域の農業者と共有。また、「天王ナチュラルファーム ドローンオペレータクラブ」(大阪・能勢町)、「しもつま農園」(京都・南丹市)とも連携し、ドローンで農薬や追肥料などの散布を行う。これらにより、ほ場ごとの適期防除が実現し、農薬や肥料の使用量削減のほか、作業時間・作業負担の軽減も図れるため、品質・収量・収益性の向上が見込めるとしている。同計画の実施期間は2028年3月まで。

辻井社長(71)は、「スマート農業技術を駆使して、収益性を上げ、預かれる農地の面積を底上げしたい。市内の大規模農家や集落営農とも連携し、農都・丹波篠山の農業を守り、盛り上げていくことができたら」と話している。

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