兵庫県丹波篠山市の谷口佐栄子さん(77)が、みなと銀行篠山支店(同市乾新町)のロビーでワードアート作品展を開いている。パソコンの文書作成ソフト「Word」の図形機能を使って描いたデジタル絵画で、澄み切った青い海や空が目を引く風景や、動植物をモチーフにした計10点を展示している。谷口さんは、手が震える難病を患っているため、マウスをクリックして描くワードアートなら、と10年ほど前から創作している。「ほんわかと人の心を癒やす絵を描くのが目標。作品を見て優しい気持ちになってもらえたら」と来場を呼びかけている。
指定難病で遺伝子変異による末梢神経疾患「シャルコー・マリー・トゥース病」を患っており、手が震え、指先で物をつまむことが難しく、ペンを握って自在に線を引くことはできない。
ワードを起動し、挿入タブの中の図形をクリック。三角や四角、ハート形など任意の図形を選び、それらを拡大したり変形させたり、色を付けたりしてイラストを描いていく。
同支店での作品展は4度目。花に集まるチョウと、そのチョウにじゃれつくネコを描いた線画のような作品や、額に角が生えた伝説上の生き物ユニコーンをモチーフに、波打つたてがみや体表に施した幾何学模様の装飾を緻密に描き、来場者の関心を引いている。「青色が好き」と、空や海をモチーフにした爽やかな印象の作品も並んでいる。
パソコン教室に通っていた10年ほど前、障がい者支援施設いぬいふくし村の「コミュニティカフェみーつけた」で、肢体不自由の障がい者が足を使って描いたというワードアート作品展が開かれていた。鑑賞した谷口さんは、作品に感動を覚え、「私もやってみたい」と始めた。
ワードアートの先駆者が配信するユーチューブ番組を見ながら、操作を覚えた。病状が進行する以前は、洋服を作るなど手芸を趣味としていたので、細かな作業を根気よく続けることは苦にならず、はまった。
週3回程度パソコンと向き合う。病気の影響でマウスをつかむ手が震えるので、それを抑え込もうとして力が余計に入り、作品作りに没頭した後は、筋肉痛や肩こりに悩まされるという。
谷口さんはユニバーサルスポーツの卓球バレーも楽しんでいる。10月12日に滋賀県で開かれる全国大会にチームメートと出場する。「足も不自由なので、家の中にいることも多かったが、いろんな趣味を持つことで人とのつながりが広がって楽しい」とほほ笑んでいる。
10月31日まで。開場時間は、平日の午前9時―正午、午後1―3時。






















