兵庫県丹波市立船城小学校で、同校にパラ陸上のやり投げ(視覚障がいクラス)の若生裕太選手(28)を招いた出前授業が行われた。子どもたちがアスリートと直接的に触れ合い、体育授業の充実をはかるアスリート全国学校派遣プロジェクトを利用。4、5、6年生(計29人)が、若生さんの経験した挫折や大切にしていることなどを聞き、グラウンドで投げ方を教わる実技も行った。
体育の教師を目指し、大学に進学した若生さんは20歳の時、「レーベル遺伝性視神経症」を発症。両目共に1・5あった視力が、半年で0・01まで低下。親や友人、教師などに打ち明けると、誰も否定することなく、どうやったら大学を卒業できるか、日常生活を送れるかなどを懸命に考えてくれた。人の温かさを感じた若生さんは障がいを受け入れ、前を向く姿を見せて恩返しがしたいという気持ちが湧いた、という。
自分に何ができるかを考え、小学生の頃から野球や柔道などの経験があったことから、スポーツの道へ進むことを決めた。2018年からやり投げを始め、「東京パラリンピック出場」を目標に掲げて練習に励む日々を送った。
大きな挫折もあった。東京パラリンピックへの出場権が獲得できる大会で記録が伸びず落選。「自分には才能がない」と当時は絶望したという。しかし、挫折を乗り越え、2024年のパリパラリンピックでは7位に入賞。身近な人たちが自分のことのように喜んでくれて、落選を経験したから今の自分があるのだと受け入れることができたという。
若生さんは「夢を持つことは素晴らしいこと。夢は大きいほど失敗や挫折をしてしまうかもしれないが、その存在が頑張る原動力になる。一緒に頑張ろう」と語った。
井本美空さん(6年)は「挫折しても決して諦めず、成し遂げるところがとてもかっこいいと思った」と笑顔で話していた。

























