兵庫県立氷上特別支援学校高等部2、3年生が、人工知能(AI)を活用して同県丹波市の課題や解決策を考える授業に取り組んでいる。AIに質問を投げかけてヒントをもらったり、発表する際に伝わりやすくするための画像を作ったりと、あらゆる場面で利用。全てをAIに委ねて答えを得るのではなく、“パートナー”として学びを深めている。
同校は、高校生や大学生、丹波市議会議員が語り合い、まちづくりを考える同市議会の企画「丹波市議会☆ミライプロジェクト」に参加。校内で市の課題や未来を考える際にAIを活用している。
AIの導入を提案したのは、同校教諭の黒田一之さん(39)。支援が必要な児童生徒の授業づくりにAIを活用するため、兵庫教育大学大学院で研究を進めており、教員とAIの協働を考える研究の一環として導入した。
まずは生徒同士がグループで市の課題や解決策を語り合い、考えが行き詰まったり、ヒントが欲しかったりするときに、黒田さんが作成したAI「丹波愛おじいちゃん」に質問を投げかけると、AIは複数のアイデアを提案。生徒の考えに“駄目出し”をするときもあり、AIとの対話を重ねながら、自分たちの考えを磨いていった。
10月31日には、自分たちが考えた市の課題と、その解決策のイメージに合う画像を、画像生成AIを活用して作成した。あるグループは、課題と考えた「丹波市にはおしゃれなカフェが少なく、働く場所がない」をAIに入力。AIから画像の雰囲気や、主役を誰にするかなどの質問がなされ、「雰囲気は人が少ない夕暮れ時」「主役は高校生」「服装は制服にして」などと細かに設定し、寂しげな雰囲気が漂うまちに高校生が立つ画像を作った。
次に、解決策とした「キッチンカーで道の駅やスポーツセンターに行き、高校生が授業で習った接客で、コーヒーや紅茶ケーキを販売して地域を明るくする」を画像化。「笑顔で接客する高校生が主役」「青空の下」「カラー画像」などと入力していくと、想像通りの画像が完成し、生徒たちは驚きの声を上げていた。
生徒の橋本蒼生さん(2年)は、「イメージを画像にするのは難しいけれど、良いものが出来た。指示通りの画像ができないときもあり、伝える難しさを感じた」と話した。
黒田さんは「教員と生徒がAIをうまく活用することで、自分の考えを深め、自分や仲間との対話も深まれば」と話していた。
同プロジェクトのテーマは「若者と考える、みんなで考える丹波市の未来」。市議会議員と柏原、氷上、氷上西の3高校、福知山公立大学(京都府)の学生は複数のグループに分かれて活動し、氷上特別支援学校は校内で取り組んでいる。同プロジェクトの発表会が9日、市議会議場で行われる。
























