企業支援で耕作放棄地解消へ 農家ら「三方良し」のNPO 「小さな農地」も対象に

2026.01.27
地域注目

新しいスタイルで耕作放棄地の解消を目指す「Green Days JAPAN」のメンバーと地権者=兵庫県丹波篠山市風深で

収益性や効率性の観点から進出が難しいとされてきた小さな農地も対象にし、耕作放棄地やその担い手不足の解消に取り組むNPO法人「Green Days JAPAN」(本部・兵庫県西脇市)が、同県丹波篠山市内を拠点に活動を始めた。非営利で、活動の理念に共感する企業からの支援が資金源という新しい独自のスタイルで持続可能な取り組みにつなげる。同法人は、「米を販売するよりも、『耕作放棄地を解消するための稲作』という社会課題の解決に向けた〝物語〟を提供することで、支援する企業にとってもブランドイメージの向上になる」とし、三方良しの事業としてスタートを切る。

同法人は、▽農地の維持管理ができない▽後継者がいない▽草刈りが負担―などの悩みを抱える地権者から農地を借り受け、スタッフが田植えや稲刈り、草刈りなどを担い、稲作を行う。

収穫した米は、契約企業に販売。福利厚生として企業の社員らが専用アプリを使って米を注文する。米の一部は地代として地権者に還元。集落でまとまって農地を借り受けた場合は、集落に「地域貢献費」を拠出する。

大規模農家など、既存の担い手と競合しないようエリアを分けたり、大規模農家が入りづらい小さな農地を対象にしたりし、両輪で耕作放棄地の解消に臨む。

また、作業には現役や引退後のアスリート人材も登用。米の配送などは障がい者を雇用する事業所に依頼し、農福連携にもつなげるという。

理事長を務めるのは、オートバイ国際A級ライダーでもある藤原由樹さん(40)=西脇市。藤原さんの弟で、現在、ダカール・ラリーの二輪車部門に出場し、見事、完走を果たした慎也さん(35)が副理事長。丹波篠山市内で実際に農業を行う現場は、農家の石田浩一さん(47)や上本浩之さん(46)らが担い、アスリート人材の指導にも当たる。

市内の総水田面積4550㌶のうち、不作付け地は約400㌶。上本さんらは、耕作放棄地の拡大を目の当たりにし、「何とかしなければ」と思いつつ、特に小さな農地は作業効率の悪さや、作業に見合う収益が得られないことから動き出せなかった。また、「令和のコメ騒動」から、コメの安定供給についても考えるようになった。

そんな話を打ち明けたのが、もともとつながりのあった藤原さん。プロライダーとしてスポンサーを得て活動してきたことから、耕作放棄地という社会課題の解決を、企業の社会的責任(CSR)活動などとして支援してもらうことを発案。また、競技だけでは生活できないアスリートや、引退後のセカンドキャリアにも不安を持つ人がいることから、農家に指導を受けながら農業人材として育成する取り組みを兼ねることも企画した。

試験導入となる今年は、すでにIT系の上場企業1社が支援を名乗り出ている。農地は風深地区と県守地区で説明会を開催し、計約10㌶を借り受けることが決まっている。風深地区で農地を貸し出す中本梅夫さん(77)は、「地区の中でも半数は、農地の担い手がいない。今年度は米価が高かったが、普段は作っても赤字になるし、土地を買ってくれる人もいない」と嘆きつつ、「(同法人の取り組みは)商売とは違う考え方。放棄地はさらに増えていくので、活動に期待したい」と話した。

石田さんは、「『どないかできひんかな』と思いつつも、作れば『赤』になる小さな農地には投資できなかったのが本音。藤原さんのつながりがあってできること」と感謝。上本さんは、「米を作るという入り口は普通の農家と同じだが、耕作放棄地を解消し、地域の方や地権者さんから『ありがとう』と言ってもらえることがこの法人の出口。大型農家とも連携しながら、共に担い手として農地を守っていきたい」と話す。

藤原さんは、「CSRの対象として選ばれる可能性は十二分にある」と気合を入れ、「ここをモデルケースに、全国展開も考えていきたい」と意気込んでいる。

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