駆除は初期対応が大事 被害深刻な特定外来生物 「見つけたら行政に一報を」

2026.01.25
ニュース丹波市地域地域自然

特定外来生物のジャンボタニシ(左上)、ナガエツルノゲイトウ(右上)、クビアカツヤカミキリ(左下)、アルゼンチンアリ(右下)(環境省ホームページより)

兵庫県立人と自然の博物館(三田市)の三橋弘宗主任研究員がこのほど、氷上回廊水分れフィールドミュージアムで「特定外来生物と生態系の変化~特定外来生物の見分け方と生態系に及ぼす影響について~」と題して講演した。同館友の会が企画した。要旨は次の通り。

県内で深刻な被害が出ている4つの外来種を紹介する。1つ目は外来植物の「ナガエツルノゲイトウ」。切れ端からも増えるので駆除が難しい。2つ目はモモや桜の木を枯らす「クビアカツヤカミキリ」。首が赤くて羽に艶がある。3つ目は気づかないうちに増える「アルゼンチンアリ」。4つ目は田んぼで稲苗を食べる「ジャンボタニシ」。正式な和名は「スクミリンゴガイ」で、ピンク色の卵が目立つ。

特定外来生物について講演する三橋研究員=兵庫県丹波市氷上町石生で

この中で、丹波市で出たのは、クビアカツヤカミキリとジャンボタニシ。クビアカツヤカミキリは昨年、市内で見つかったが、県や市役所、樹木医の皆さんの努力でほぼ封じられている。ジャンボタニシは市島町で発生し、ほとんど駆除できたが、まだ少し残っている状態だ。

アルゼンチンアリは特徴がないのが特徴。身近にいても気づきにくいので特にやっかいだ。刺さないが、ものすごい勢いで増える。朝起きたらアリに囲まれていた、という事例もある。大発生すれば店舗、工場、観光施設もストップする。神戸の飲食店や工場も休業を余儀なくされることもある。高速道路の植物帯や川沿いなど、人が通れない所を通って移動しており、丹波にも入って来る可能性がある。

クビアカツヤカミキリは1匹が産卵すると木が枯れてしまうこともある。幼虫も強力な顎があり、刃物のように木を削る。木の中に空洞が出来て水を吸い上げられなくなって枯れていく。大量の木くずを出すので、特に今年5、6月頃に注意して見てほしい。

これが丹波市に入ったら大変なことになると言われているのが「ナガエツルノゲイトウ」だ。ものすごい増殖力で、草刈り機で切っても、切れ端から増える。井堰や調整池で増えてしまうと、ポンプが詰まるので取水や洪水時に排水できなくなる。

これらの外来生物は新しい問題なので、研究している人が少なく、対策もあまり発展していない。人間の盲点を突いた攻撃で、大変手を焼いている。新たな災害だと思ってほしい。県は昨年、外来生物対策本部を設置した。ただ、具体的に何をしていくかはこれからだ。

外来生物の影響について環境省は▽生態系への影響▽農林水産業への影響▽人への健康被害―の3つを主に挙げている。ナガエツルノゲイトウ、アルゼンチンアリは全部関係している。

外来生物は河川や道路、その関連施設、学校、文化財などさまざまな場所で見つかり、それぞれ管理する行政機関が異なるため、「どこが対応するのか」の調整に時間を費やしてしまうケースがよくある。クビアカツヤカミキリが見つかったとき、丹波市では市環境課や県土木事務所が素早く対応してくれた。

外来生物は入ってすぐに防除すれば抑えられるが、広がってからだと対応が難しい。火事と同じ。

ジャンボタニシは西日本ではかなり広がっており、北限がおそらく丹波市の市島。米ぬかをまいておびき寄せ、徹底して取り除いた。また、貝の仲間だけに効く薬が開発され、効果を発揮している。

クビアカツヤカミキリの対策は、成虫が外に出ないようにネットをかけて、薬を木に注射する。ただ効果は限定的、木の表面に薬をまいて幼虫を殺す対策を取ると、他の生物にも影響するので難しい。古い桜だと切ることもあるが、お金もかかるし、愛着のある地元の人からの理解も得にくい。

ナガエツルノゲイトウは、ゴムのシートを2年間張って抑えるという対策をしている。一般的に使われる除草剤は効かない。光合成を抑えて枯らす薬を開発中だ。無農薬栽培の田んぼに出たときは、スチームを使う技術を開発して対応した。少しずつ対応技術を磨いているところだ。

アルゼンチンアリの対策には、ケースに入った毒薬をアリに持って帰らせて巣ごと退治するのが一般的だが、こちらも効果が限定的で高コストだった。われわれが誘因性の高い成分と巣に持ち帰りやすい形状にすることで、大いに駆除が進展し、神戸市や尼崎市、伊丹市では著しい効果を上げている。

外来生物の駆除には初動が何より大切。“空振り”になってもいいので、見つけたときは、水分れフィールドミュージアムや丹波市、県などに一報をお願いしたい。

関連記事