篠山市は、 昨年度1年間の高齢者の虐待相談件数が、 過去5年間で最も多い22件 (3月26日現在) だったことなど、 高齢者虐待の実状をこのほど、 篠山市民センターで開いた市民講座で報告した。
2006―08年度はいずれも13件、 一昨年度は7件だった。 報告した市地域福祉課の松本ゆかりさんは 「一昨年度行った市民1700人の虐待に関するアンケートを機に、 相談しやすい環境になったのでは」 と分析した。
昨年度、 虐待を受けたのは、 女性が8割を占め、 80歳代が最も多く、 次いで70歳代。 「出て行け」 「金がかかる」 などと言われる 「心理的虐待」 が最も多く、 次いで 「このぐらいなら被虐待者が自分でできると思った」 と放任するなどの 「介護放棄」、 暴力を振るわれる 「身体的虐待」、 養護者の家族の経済的理由で介護サービスの利用料が払えないなどとする 「経済的虐待」 が続く。
虐待がひどく、 被虐待者を高齢者施設などに入所させ、 虐待者と離れて生活させる 「分離」 が4件あったことも報告された。
市はこのほど、 虐待の事例や解決方法などを掲載した、 高齢者虐待防止のための啓発パンフレットを作成した。 また、 今年度は市役所第2庁舎に福祉に関する総合窓口を設置することや、 虐待対応マニュアルの改正、 権利擁護委員会の設置、 権利擁護の専門相談会、 「心の相談日」 の実施などを計画している。
高齢者虐待に関する問い合わせは、 市地域福祉課 (079・554・2511) や地域包括支援センター。