県、人と野生動物との 「棲み分けゾーン」 を春日で整備へ

2011.07.26
ニュース

 獣害が深刻化するなか、 県は人家に隣接した森林のすそ野を帯状に伐採し、 人と野生動物との 「棲み分けゾーン」 を整備し、 さらに野生動物のえさとなる実をつけるクヌギやナラを育てる試みを、 丹波市春日町上三井庄、 同町柚津の2カ所で実施する。 昨年度に樹木の植生や野生動物の生息調査を行っており、 今年度から整備に着手する計画。

 上三井庄では約3キロ、 柚津では約2キロにわたって山すその木を伐採。 奥行きは30メートル程度とする。 大きな広葉樹や、 災害対策として必要な木は残すなど、 山すその状況に応じて伐採していくという。 また、 動物の足跡調査などをもとに、 上三井庄で2カ所、 柚津で1カ所に、 山中にクヌギやナラを育てるエリアを作る。 柵をして苗木を育てる。 地元住民の参画による整備も検討しているという。

 県民緑基金を財源に、 県が社団法人・兵庫みどり公社に委託して行う。 市は、 地元との調整役を担う。 野生動物による農産物被害が30%以上、 クマの目撃情報が多い―などが採択条件。

 同ゾーンは、 山すその見晴らしをよくすることで、 野生動物の警戒心をあおり、 また、 適当な場所にクヌギやナラを育てて、 えさを確保することで、 人家に近づけないという効果をねらう。 森林整備や防災面における機能回復も目的。

 県森林林業課は、 「ゾーン整備で獣害がなくなるわけではないが、 防護柵などと合わせることで効果をあげる方策の1つになる」 と話している。

 

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