縄文の集落遺跡発見 篠山市波賀野で

2011.12.22
ニュース

 兵庫県立考古博物館は12月20日、 10月から発掘調査を進めていた篠山市波賀野の 「波賀野遺跡」 で、 縄文時代後期中頃 (約3700年前) の集落遺構が見つかったと発表した。 住居跡、 墓、 食料の貯蔵穴という縄文時代のムラを構成する3つの要素が検出されており、 同様の遺跡は県内2例目。 市内での縄文集落遺構発見は初めてとなる。 同博物館は、 「小さな遺跡ながら、 縄文人の暮らしを読み解く上で貴重な発見」 とした。 23日午後1時半からは、 一般向けの現地説明会が開かれる。

 調査面積は約1600平方メートル。 縄文時代の川辺に形成された遺跡からは、 竪穴住居1棟分 (4・5メートル四方) とみられる柱遺構のほか、 人頭大の石を置いた墓 「配石土坑」 が6基、 子どもを深鉢に入れて埋葬したと考えられる 「土器棺」 が1基出土。 ドングリなどの木の実を入れたとされる 「貯蔵穴」 も2カ所見つかった。

 土器棺については、 横向きに埋設されるという同時代としては珍しい形を取っており、 近畿でも4例目となる。

 ほかに多数の土器片や漁具の切目石錘 (きりめせきすい)、 香川・金山産とみられる鉱石 「サヌカイト」 を使った矢じりの石鏃 (せきぞく)、 へき玉片、 男根をかたどった祭祀用具 「石棒」 とみられるものなど、 約2000点の遺物が出土した。

 同博物館によると、 一つの遺跡内で住居、 埋葬・祭祀、 生産関連 (貯蔵穴) がセットになって出土する遺構は、 淡路市の 「佃 (つくだ) 遺跡」 に次いで2例目という。

 同遺跡は国道372号線丹南バイパスの整備に伴い、 同博物館が調査を開始。 水田の直下から古墳時代の住居、 倉庫跡が出土し、 深さ50―1ほどから縄文の集落遺構が検出された。

 同博物館は、 「佃遺跡ほど大きな遺跡ではないが、 コンパクトな中にさまざまな要素がみられる」 とし、 北に向かって地層の断面に土器が確認されていることから、 「工事が進めばさらに範囲が広がる可能性もある」 とした。

 今回の発掘作業は1月中旬まで行う予定。 現地説明会の問い合わせは、 現場事務所 (079・595・1133) へ。

 

関連記事