丹波市氷上町成松の梅谷莉子さん (14) =氷上中学校2年=と姉の真子さん (17) =京都共栄学園高校2年=姉妹が6月24日、 自宅の浴室で倒れていた曽祖父 (97) に胸骨圧迫 (心臓マッサージ) を施し、 救命した。 莉子さんは、 21日に同中で丹波市医師会が市内の中学2年生を対象に開いている救命講習を受けたばかり。 「勇気を出して必死でやった。 助けられて良かった」 と喜んでいる。
第一発見者は祖母 (74)。 長風呂の曽祖父の安否を気遣い、 毎日声をかけており、 この日も入浴から1時間ほどたった午後6時ごろに声をかけた。 返事がないのを不審に思い浴室の戸を開けると、 洗い場のいすに座っていた曽祖父が、 崩れるように倒れており、 あわてて2人を呼んだ。
祖母に脱衣所まで引っ張り出された曽祖父は、 口から泡を吹いていて、 白目をむいていた。 叩いても名前を呼んでも反応はなく、 呼吸も止まっていた。 莉子さんは、 3日前に覚えた胸骨圧迫を開始すると共に、 真子さんに119番通報を指示。 電話口の救急隊から胸骨圧迫の指示を受ける前に処置を始めたという。
2人は、 「亡くなっていると思った」 が、 「息が戻らないとしても、 あきらめずにやる。 自分があきらめた時が、 倒れている人が亡くなる時」 という講習時の言葉が記憶に焼き付いていた莉子さんは、 無我夢中で胸骨圧迫を続けた。 そばで祖母と真子さんが曽祖父の体を叩き、 叫び続けた。 5分ほどすると、 自発呼吸が戻り、 最初は言葉にならない言葉を発しようとした。 次いで呼びかけに 「何じゃ」 と答えるようになり、 「大正3年6月26日生まれの97歳。 100歳まで生きるんやろ」 と叫ぶ声に、 「うるさい」 と反応したという。
要請から10分ほどで到着した救急隊とは普通に受け答えができるまで回復。 救急隊が健康状態を調べたところ、 血圧が下がっていたが、 意識ははっきりしており、 搬送される際も 「どこも悪くない」 と話したという。 収容された市内の病院でも、 軽い低体温と低酸素状態だったが、 心電図、 胸部レントゲン、 血液検査など目立った異常はなく、 経過観察のための入院で済んだ。
「私はパニックになり、 何もできなかった。 妹をすごく尊敬した」 と真子さん。 莉子さんは、 「本当に覚えていた方がいいと思ったので、 真剣に講習を受けた。 私が処置していなかったら亡くなっていたと思うし、 こわかったけど、 自分でもすごいことをしたなと思っている」 と話した。
祖母は、 「たまたま日曜の夕方で、 2人とも家に居てくれた。 子どもなのに、 勇気を出してよくやってくれた」 と、 孫をねぎらった。