サル群れに警戒強める 春日町大路地区

2012.07.08
ニュース

 丹波市春日町大路地域で6月中旬から下旬にかけて、 サルの群れによる農作物被害が相次いだ。 群れは篠山市へ移動したが、 間もなく最盛期を迎えるスイートコーンをねらって再び群れが戻ってくる可能性があり、 地元住民らは防災行政無線で情報を共有したり、 追い払い用の銃やロケット花火を購入するなどして警戒を強めている。 被害はここ2、 3年、 特に目立ってきているという。 

 春日地域を襲ったのは、 「篠山A群」と呼ばれる約70匹の群れで、 6月20日に篠山市の旧西紀町に隣接する春日町野瀬に入り、 広瀬、 松森、 上三井庄、 下三井庄、 鹿場、 柚津の順で西進。 同じルートを通って引き返し、 同24日に篠山市へと移動した。

 その間、 ジャガイモ、 トマト、 キュウリ、 タマネギ、 ナスなどが被害に遭い、 根こそぎ引き抜かれたジャガイモ畑など全滅に近い畑も多いという。 被害額は定かではないが、 1000万円近くにのぼると予測する住民もいる。

 被害をみかねた大路地区内8自治会は6月下旬、 サルを目撃した場合には防災行政無線を利用し、 大路地区内で情報を共有することを申し合わせ、 今年初めて“サル予報”の放送を実施している。 また、 同8自治会と柚津自治会は、 自治会や農会代表らで 「サル対策会議」 を開催。 市からサルに対する知識を深める講義を受けた。

 篠山市に最も近い野瀬自治会 (細見利久会長) では3年前に、 自治会や営農組合らで獣害対策委員会を組織。 サルの害に対してはロケット花火を購入して役員らに配布したり、 今回の被害を受けて、 市の補助金を活用し、 追い払い用の銃を5つ購入した。

 また、 県森林野生動物研究センター (丹波市青垣町沢野) が各自治体に対して配信するサルの移動情報を、 市から転送されるかたちで携帯メールで受信し、 注意を払っている。

 市によると、 サルは狩猟鳥獣ではなく、 むやみに捕獲、 狩猟できないといい、 被害に遭っている住民にとっては 「やっかいな存在」。 学習能力が高いことを逆手にとって、 人間は怖いと思わせるように追い払うのが、 最善の策とされている。

 野瀬の獣害対策委員長の細見正和さん (73) は、 「群れが到着してからでは遅いので、 とにかく“サル予報”が欲しい。 そのためにもみんなに啓蒙してお互いに情報を入れながら追い払うしかない」 と言い、 営農組合長の片山逸雄さん (72) は、 「サルのえさを作っているのではないと、 作付をあきらめる人もいる。 生産意欲が失われるのを何よりも避けたい」 と話していた。

(写真)購入したサルを追い払う銃やロケット花火を用意し、 サルの群れに対する作戦を立てる住民たち=春日町野瀬で

 

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