葛野報徳自治振興会 (藤原敦実会長) が、 丹波市の 「元気な地域づくり事業」 を利用して特産化をめざす、 ホンモロコの試験養殖が、 同自治会の試験池で始まった。 稚魚500匹を飼育し、 成魚に来春産卵させ、 個体数を増やす。 同会員内に養殖希望者を募り、 将来、 加工品として販売できないか、 可能性を探る。
丹波市氷上町三原の十倉厚雄さん (61) が、 自身が経営する鉄工所敷地内にこしらえた池で飼育している。
土を盛ってシートを敷いて自作した池で、 30平方メートルほどあり、 50センチほどの水深もある。 自動で井戸水をくみあげるほか、 改造した農業用動力噴霧器でエサやりも自動化、 現在は朝晩の2度、 給餌している。
稚魚は、 ホンモロコ養殖日本一の鳥取県の八頭町から仕入れた。 放流した際は3センチほどだったものが、 6センチほどに成長。 成魚は10センチほどになる。
4―5月に、 シュロの木を沈めて産卵させ、 別の水槽に移してかえし、 その後、 希望者に休耕田で養殖してもらう。
水を50センチほどはるために田んぼを少し掘り下げるだけで初期投資がいらず、 飼育も容易とされる。 一方で1キロ3000円程度の高値で取引がされていることから、 休耕田活用、 加工品開発によるビジネス化にと、 ホンモロコ養殖を思いついた。
厚雄さんの兄で、 同自治振興会地域資源部会の十倉正己部会長 (66) は、 「初めてのことで、 どの程度成魚になり、 また卵を産むのかなど、 手探りの状態。 養殖にめどが立ち、 葛野の中から養殖に手をあげる人が出てくれば。 販路も今のうちから考えたい」 と話す。
厚雄さんは、 「浮いて来ないので姿が見えず、 不安になって1度水を落としてみたら、 大きく育っていた。 魚のことは全く分からないが、 うまく増えてくれたら」 と、 順調な成長を願っている。
【ホンモロコ】琵琶湖固有種とされる淡水魚だが、 外来魚の侵入で天然ものは個体数が大きく減っている。 白身の淡白な味わいで、 京都では高級品とされている。 鳥取県では、 元鳥取大助教授の七條喜一郎さんが発案した休耕田でのホンモロコ養殖が盛んで、 全国一の生産量を誇る。 葛野報徳自治振興会も、 七條さんのグループに助言を受けている。