原発事故の被ばく対策として兵庫県篠山市が 「安定ヨウ素剤」 の備蓄を検討していることがわかった。 ヨウ素剤は放射性物質による甲状腺がんを避ける効果があるとされるもの。 ただ配布方法や服用指示の基準などについて国が明確な方針を出していないため、 新年度当初予算には計上しておらず、 方針を待って補正予算などで対応する。 市では新年度から放射能測定器を設置することも決まっており、 県の動きに先駆けて独自の原子力災害対策を進める。 2月21日に篠山市役所で開かれた 「市原子力災害対策検討委員会」 で明らかにした。
安定ヨウ素剤は、 原子力災害の際、 予防的に服用することで甲状腺がんを引き起こす放射性ヨウ素が体に蓄積するのを阻害することができる。 東日本大震災による福島原発事故の際、 唯一、 福島県三春町で使用された。
一方、 安定ヨウ素剤は劇薬にも指定されており、 副作用も考えられることから現行の薬事法では一般的に配布は想定されていない。 しかし、 国の原子力規制委員会が今年3月末までに打ち出す改訂版の 「原子力災害対策指針」 に事前配布も含めた具体的な方針を盛り込む予定になっている。
現在の規制委の方針では原発から半径5キロ圏内の家庭に安定ヨウ素剤を配り、 住民は服用してから避難を始めることとしている。
市原子力災害委ではこれまでに複数の委員から安定ヨウ素剤の備蓄の検討を進めるべきとの意見が出されており、 市は、 「補正予算などで財源措置を行い、 対応したい」 とした。
また備蓄を決定するまでの期間は、 「市の診療所や市医師会、 市薬剤師会などの協力を得ながら対応したい」 とした。
委員からは 「市が新年度から始める地域巡回の原子力防災勉強会などで既往症を持つ人など、 ヨウ素剤配布の是非を考えるための状況調査もすべき」 などと提案が出された。