県版レッドデータブックBランクに指定されている絶滅危惧種の淡水藻類 「チャイロカワモズク」 が、 JR篠山口駅 (兵庫県篠山市大沢) 西側の市街地を流れる小川で見つかった。 篠山自然の会副代表で、 植物に詳しい谷口次男さん (74) =同市西新町=は、 「カワモズクの仲間は、 湧き水がゆるやかに流れる水温の低い清流を好む。 そんなまれな環境下で発生する敏感な藻類が、 市街地の川で見られるのは珍しいこと」 としながらも、 近くに造り酒屋があることから 「酒造りには、 地下水が欠かせない。 その地下水が小川に流れ込み、 カワモズクが好む環境を提供しているのでは」 と推測している。
大沢で確認されたチャイロカワモズクが生息する小川の幅は約2メートル、 水深は約10センチで、 両岸にコンクリートが張られている。 川底は自然に配慮した工法でつくられており、 自然のままの砂岩が堆積した状態で、 5メートルほどの区間に10株程度が確認できる。
カワモズクの生息場所から約100メートル上流に鳳鳴酒造・味間蔵 (大沢) があり、 酒造り期の11月―3月中旬をピークとして年中、 地下水をくみ上げ、 その余り水を小川につながる用水路に流しているという。 酒造り時期は、 カワモズクの生育時期とも重なっている。
谷口さんがこれまでに、 市内でチャイロカワモズクを確認している場所は、 川原、 西古佐、 南矢代、 波賀野の4カ所。 波賀野を除く3カ所は、 いずれも山中の渓流で、 波賀野は平野部の小川。 地元住民によると、 この小川にも大量の湧き水が注ぎ込んでいるという。
【チャイロカワモズク】カワモズク科の淡水藻。 茶褐色で、 ぬるぬるしていて柔らかい。 細かく枝分かれし、 体長は2―12センチ。 雌雄異株。 晩秋から春にかけて繁茂する一年生藻。 湧き水が流れる川床の石や農業用水路のコンクリート壁などに着生する。