希少種として知られるギフチョウが今年も、 兵庫県丹波市春日町多田の里山で羽根を広げている。 地域の里山にギフチョウを飛ばそうという住民の願いが実り、 数年前から、 賀茂神社の境内や圓光寺裏山で、 美しい姿が見受けられるようになった。 ギフチョウの卵をカンアオイの葉の裏に産みつけている様子も確認され、 来春の羽化に向けて、 自然界のなかで命が宿っている。
同地区住民がギフチョウの飼育に取り組んで10年になる。 賀茂神社境内にギフチョウの幼虫の餌になるカンアオイが自生していることを耳にした住民が、 里山の開発や放棄などにより、 個体数の減少しているギフチョウを守ろうと人工飼育や放蝶などを行ってきた。 自生のカンアオイを株分けして増やすなど、 環境整備も進めてきた。
同神社境内では、 コバノミツバツツジ、 カタクリなどを植え、 成虫が花の蜜を吸いやすいようにするなど、 成長を助けている。 天気の良い日には、 ギフチョウが舞う姿が20日ごろまで見られそう。
同寺裏山には、 ケージを設け、 飼育のようすも観察できる。 成虫の羽根は黄白色と黒の縦じま模様が特色。
同寺の豊田義孝住職は、 「一度チョウの姿を見に来てください。 里山にも関心を持ってもらえれば」 と話している。