東京都出身の原田雅代さん (44) が、 田舎暮らしのお試し体験ができる施設 「わだ家」 (篠山市福住) で生活をしながら、 県内唯一の養蚕農家、 柿原啓志さん (77) =丹波市春日町中山=から養蚕技術を学んでいる。 原田さんは反物などを織る機 (はた) も所有しており、 「ゆくゆくは丹波の地で、 自分の工房を構えたい。 自分でまゆから糸を取って染め、 着物の反物や洋服の生地などを織って販売したり、 工房展などもやってみたい」 と話している。
原田さんは、 旅行会社社員として働いていたニューヨークで、 日本製の糸などを輸入し、 アメリカやヨーロッパに販売する会社に転職。 もともと糸を作ることに興味があり、 機織りをやってみたいと思っていたところ、 当時の社長に 「機織りなら日本で学ぶ方が良い」 と勧められ帰国。 2007年から09年まで愛媛県のシルク博物館で、 まゆが製品になるまでの一連の作業を学んだ。
その後、 絹の反物などを多く扱う京都に近く、 自分を受け入れてくれる養蚕農家を探していたところ、 インターネットで柿原さんを見つけた。
6月下旬から、 「わだ家」 で生活しながら、 ほぼ毎日柿原さんから養蚕を学んでいる。 原田さんは 「桑をちゃんと食べているか、 病気になっていないかなどをよく観察しているが、 与える桑の量など一つひとつの作業が難しい」 と話す。 柿原さんは 「やる気もしっかりあって、 蚕に対する愛情を感じる」 と目を細めている。
今後は自宅兼工房となる住居を探し、 養蚕ができるスペースを確保できれば、 「1万頭の蚕を育ててみては」 と柿原さんから提案を受けている。