俳優の大村崑さん (81) が、 新宿コマ劇場の舞台セットとして実際に使用されていた背景画を 「大切にしていただける人に無償で譲りたい」 と、 8月20日まで希望者を募っている。 日本の情緒ある花鳥風月をいきいきと描いた背景画で、 6枚に分割して描かれている。 1枚あたりの大きさは縦約2・4メートル、 横約90センチ。 絵柄の違った2種類がある。 応募者多数の場合は、 抽選で決める。 背景画見学の際は、 事前連絡が必要。 問い合わせや応募は、 「崑の村」 公式ホームページ (http://kon-chan.com/) の 「お問い合わせ」 のフォームから。
背景画は、 1998年、 新宿コマ劇場で催された歌手、 長山洋子さんの特別公演に大村さんが出演した際に、 その舞台を飾ったもの。 2008年、 新宿歌舞伎町の再開発に伴い、 閉鎖された同劇場の取り壊しの際に大村さんが譲り受けた。
背景画には、 青々とした松や満開の桜、 躍動感のあるヤマドリなどが描かれたものと、 赤いツバキや青いアヤメ、 黄色いハギなどが色鮮やかに描かれたものとの2種類がある。 ともに目立った傷やシミなどはほとんどなく、 状態は良好という。
大村さんは1999年、 篠山市今田町下立杭に別荘を兼ねた観光施設として 「崑の村」 を建設。 食事やカラオケが楽しめる 「大村座」 と、 売店などの 「崑屋」 からなる施設を備えた。 昭和レトロの雰囲気が味わえる施設で、 最盛期には1日に数百人の来場者があったが、 徐々に客足が減り始め、 2009年に閉村した。
「崑の村」 は現在、 売家中で、 施設内の品々を整理処分しており、 その際、 倉庫に仕舞い込まれていた背景画を見つけた。
「崑の村」 を管理している大村さんの長男、 岡村純治さん (52) は、 「伝統ある劇場で、 実際に使用されていた背景画。 名だたるスターたちがこの前で芝居をしてきた。 演劇関係者にはたまらないお宝なのでは」 といい、 「眠らしておくにはもったいない素晴らしい作品。 舞台で使うだけでなく、 飾っておくだけでも、 気持ちが豊かになるような気がします」 と話す。