ペットの命守って 動物愛護管理法が改正

2013.09.01
ニュース丹波篠山市

 捨てられる犬や猫の数を減らすため、 相応の理由がない限り自治体が引き取りを拒否できることや、 動物取扱業者への規制などを強化した 「改正動物愛護管理法」 が9月1日、 施行される。 犬・猫の 「殺処分ゼロ」 を目指すため、 さまざまな対策を盛り込んでいる一方で、 動物保護ボランティアに対しても規制がかかっており、 飼い主が飼えなくなった場合の最後の砦に入るためのハードルも高くなる。 篠山市内のボランティアは、 法改正以降は、 現在保護している以上の頭数は受け入れることが困難になるため、 「捨てる人の多くは、 『かわいいから』 と安易な理由で飼ったものの、 育てられなくなったケースが多い。 改正法では一般の飼い主に関することもあるので、 法律を知り、 自分のペットの命を自分で守ってほしい」 と呼びかけている。

 

 改正法の柱は、 ▽業者も飼い主も犬猫の命を終えるまで適切に飼う 「終生飼養」 の徹底▽動物取扱業者への規制―の2点。

 終生飼養に関しては、 自治体が飼い主や業者から引き取りを求められた場合、 ▽病気や高齢化を理由にする▽他に育てる人をさがす努力をしていない▽去勢や不妊手術をせずに生まれた子犬・子猫―などの場合は引き取りを拒否できる。

 業者への規制では、 業者を 「第一種動物取扱業者」 とし、 動物の健康安全計画の策定や、 所有状況の報告などが盛り込まれた。

 また、 近年はインターネットを利用した犬猫の販売が増える一方で、 購入後に病気が発覚したり、 「イメージと違った」 とペットを捨てるケースが増えているため、 販売時の規制も強化。 業者は犬猫を直接見てもらい、 対面で説明することが義務付けられる。

 売れ残った犬猫についても、 健康安全計画の策定を義務付けた。

 2011年度は全国で17万5000匹が殺処分されていた。

 

◆悩む保護団体“定員”限界に

 篠山市西本荘の動物保護ボランティア 「篠山動物小さな命の会」 の堀家光洋さん (69) は、 改正法に頭を悩ませている。

 改正法では動物の飼育施設を設置し、 非営利で譲渡などをしている動物保護団体も 「第二種動物取扱業者」 として、 県に申請しなければ活動できないからだ。

 申請後は、 団体が有する施設の規模やスタッフ数によって受け入れることができる頭数が決まる。 同会では犬の場合、 約20頭が限界になるが、 すでに現状で“定員”に達している。 新たな飼い主を見つけて譲渡しなければ空きができない。

 そのため、 9月以降も現在の頭数のままなら、 捨てられた動物を保護しても、 法律上、 受け入れることができなくなる。

 同会が現状以上の動物を引き取るためには、 犬舎を増築したり、 新たにスタッフを雇わなくてはならない。 その費用は飼い主がわかっている場合は、 請求することになるが、 「多額の費用を出して引き取りを頼む人は少ないと思う」 と堀家さんは話す。

 受け入れる際に、 終生面倒をみたり、 新たな飼い主を探すための保証金を求めている団体もあるが、 同会では月々のエサ代程度しか求めておらず、 経済的な理由などで飼い続けることができなくなった飼い主の駆け込み寺になっていた。

  「改正は無闇に動物を飼わないという意識付けのきっかけにはなると思う」 と堀家さん。 一方で、 「改正で動物を飼い続けられなくなる業者や飼い主が、 罰則があると知りながら捨てるケースも増えるのでは。 それを見つけて保護しても、 受け入れられなければ結局は殺処分になってしまう。 犬や猫の将来を考えて行動ほしい」 と訴えている。

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