県が開発した白小豆 「白雪大納言」 を、 名声を確立している丹波大納言小豆と並ぶ地域のブランド作物に育てようと、 畑道雄さん (42) =丹波市市島町市島=が、 来年度作付面積を拡大すべく、 準備を進めている。 今年、 種子となる白小豆を育てた。 「赤と白の一大産地となれば、 話題性もある。 農業者や加工業者と連携し、 大きく育てたい」 と意気込んでいる。
氷上高校商業科で特別非常勤講師をしており、 生徒から白小豆がないのかと2年前に聞かれ、 探したのがきっかけ。 白あんの原料は、 白小豆と思っていたが、 実際は白いんげんなどが多く、 白小豆はわずかであることを知った。 白小豆を調べるなかで、 県が2002年に農水省に品種登録した 「白雪大納言」 を見つけた。
県立農林水産技術総合センター (加西市) に種を譲ってほしいと相談したところ、 北部農業技術センター (朝来市) に残っていた原原種100グラムは全て春日町内の農家に譲ったと言われ、 丹波農業改良普及センターを通じてその農家と連絡を取り、 この農家が8キロに増やした 「白雪大納言」 を譲り受けた。
非農家だった畑さんも、 種子を増やすべく、 春日町国領に30アールの農地を借り、 農業者になった。 8キロのうち栽培を任せていた6キロのほ場は、 湿害でほぼ収穫できなかったが、 自身が栽培した2キロは首尾良く成育。 手もぎ、 手選別し、 本格生産に入る来年の種にする。
畑さんは、 丹波市地域資源活用懇話会の委員で、 たんば商業協同組合理事長、 コモーレ丹波の森事業統括代表でもあり、 地域活性化のために、 地域ブランドが必要と考えている。 「自分だけでできることではない。 農業者や加工業者ら多くの人とつながりながら、 『丹波白雪大納言』 を売り出し、 関わった人に利益が生じるようにしていきたい」 と夢を描いている。
同小豆の開発に携わった県農林水産技術総合センターによると、 白雪大納言は、 姫路市で3ヘクタールほど作られているのみだという。 白小豆のブランド、 岡山県の 「備中白小豆」 が小粒で収量が少なかったことから、 これにとって代わるものをと大粒、 多収の 「白雪」 を開発した。 既存の白小豆は脂肪分が多いのに対し、 白雪は少なく、 赤い小豆に似て風味が強い。 白あんの用途はこしあんが主流で、 粒あんとしてそれほどの量が必要とされなかったことから、 広く普及するに至らなかったという。
同センターは、 「食味は非常においしい。 『備中』 の置き換えでなく、 『白雪』 を新ジャンルとして売り込み、 市場を開拓すればおもしろい」 と話している。