産業用無人ヘリのインストラクターで、 20年来のラジコンヘリ愛好家、 前田太陽さん (46) =丹波市柏原町柏原=が、 ラジコンヘリの一種、 マルチコプターを使った空撮事業を始めた。 五輪中継やテレビ番組の撮影で使われる機材を用い、 空撮のプロカメラマンとして、 動画と写真を撮影する。 「企業紹介パンフレットや観光PR動画、 ニュース動画、 画像の提供などに携わり、 関西一円をカバーできたら」 と夢描いている。
空撮事業、 無人ヘリによる農薬散布のコーディネート業、 柏原町柏原で自身が経営する雑貨店などを合わせて 「デボン・ポート」 の社名で法人化。 事業開始にあたり、 ソチ冬季五輪の撮影にも使われた6枚羽のマルチコプター 「DJI S800 EVO」 を2機購入した。
機体にパワーがあり、 ミラーレスのデジタル一眼レンズの搭載が可能。 機体から電波を飛ばしてモニター画面で画像を目視しながら撮影ができ、 プロポでカメラの向きを360度自由に変えることができるなど、 高い操作性を備えている。
同機材より小さい機体も数種類持っており、 人物を撮ったり、 画質を重視する場合は今回導入した機体で、 スピード感を重視する場合は、 小型機を使うなど、 用途や顧客の要請によって使い分ける。
「人の笑顔を映していて、 そこから突然何十メートルも上昇する。 まるで、 コンピュータ・グラフィックスのような映像が撮れる」 と前田さん。
機体の改良とマルチコプターによる空撮の発展はリンクしており、 一眼カメラが据えられるようになったのは、 ごく最近。 全国的にマルチコプターによる本格的な空撮は始まったばかり。 「可能性を感じている。 事業を伸ばしていきたい」 と話している。
前田さんは、 ラジコンヘリを飛ばせる仕事に就きたいと、 大手造船会社を退職。 自身がヘリを操縦する動画を産業用無人ヘリを製造していたヤマハに送り、 採用を直訴。 同社と取引のあった北近畿クボタ (丹波市) を紹介され、 丹波市へ。 無人ヘリの整備免許を持ち、 機体をメンテナンスし、 インストラクターとしてオペレーターの育成に携わった後、 ヘリ防除の会社を興した。 これまでに30機以上のヘリを購入してきた。
問い合わせは同社 (0795・71・1022)。
【マルチコプター】3枚以上の回転翼で飛ぶ。 ジャイロやGPSで機体を制御する。 バッテリーで動き、 燃料で飛ぶヘリコプターと比べ静か。