「マダニ」に注意!! 感染症で死亡例も

2014.05.01
ニュース丹波篠山市

SFTSウイルスを保有していることが確認されているマダニの一種、 「フタトゲチマダニ」 (吸血後)

昨年、 兵庫県内でマダニが媒介する感染症 「重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)」 の患者が確認され、 死者も出たことなどから、 県は、 農作業やハイキングなど、 野外で活動する機会が増えるこれからの季節に向け、 「マダニにかまれないように気をつけて」 と呼びかけている。 マダニが多く生息する森林や草むらに入るときは、 ▽長そでや長ズボン、 長い靴下などを着用し、 肌の露出を極力少なくする▽とりついたマダニを発見しやすくするため、 明るい色の服装を▽マダニがつきにくいさらさらとした手触りの化学繊維素材の衣類を着用▽市販のダニ忌避剤を使用する―などの予防対策を勧めている。

「タカサゴキララマダニ」。 種類によるが、 大きさは成虫が3―8ミリ、 吸血後は10―20ミリ程度=篠山市今田町内で

SFTSは、 「SFTSウイルス」 を持つマダニにかまれることにより感染する病気で、 6日から2週間程度の潜伏期間をおいて発症。 発熱のほか、 食欲低下、 嘔吐、 下痢、 腹痛などの消化器症状が現れ、 重症化すると死亡することもある。 中国の報告では、 致死率を6%程度としている。 有効な薬剤やワクチンなどはないため、 治療は、 症状に応じた対症療法が主体となるという。

SFTSは近年、 中国で流行が見られる疾患で、 2011年に初めて特定された新しい感染症。 日本では昨年1月、 山口県の成人女性から初めて確認された (12年秋に死亡)。 その後、 過去にさかのぼって調査した結果、 05―12年までの間に10人が感染していたことが分かった。
厚生労働省によると、 これまでに山口、 兵庫、 島根、 岡山、 広島、 徳島、 愛媛、 高知、 佐賀、 長崎、 熊本、 宮崎、 鹿児島の13県で計57人の患者が確認されており、 そのうち死亡が23人 (4月13日現在)。 兵庫県では、 昨年、 70歳代と80歳代のいずれも女性2人が発症し、 80歳代女性が同年5月に死亡している。 日本でのSFTS患者の年齢層は40―90歳代で、 全患者の約95%が50歳以上。 月別の発症数は5月が最も多く、 次いで7月に多い。
これまでのところ西日本を中心に発生しているが、 国の調査では、 患者のいない地域からでもSFTSウイルスの存在が確認されているという。
マダニは国内で47種類が知られ、 SFTSウイルスを保有するのは、 現在のところ、 そのうちの5種類。 保有率は5―15%で、 種類により違いがあるという。 ただし、 これらのダニすべてが実際にヒトへの感染に関与しているかどうかは不明。 植物に付着し、 動物が通りかかるのを待ち伏せしてとりつく。 シカなどの野生動物をはじめ、 イヌやネコも吸血源になる。 食品などに発生するコナダニや衣類、 寝具に発生するヒョウダニなど、 家庭内に生息するダニは、 この疾患とは無関係。
県は 「吸血中のマダニに気が付いた際、 できるだけ医療機関 (皮膚科) で除去すること。 無理に取ろうとして体を押しつぶした場合、 マダニの体液が人の体内に入り感染の危険性が増加する。 また、 マダニの口器が皮膚内に残ると、 化膿することもある」 などと注意を促している。
問い合わせなどは、 県健康福祉部健康局疾病対策課 (078・341・7711)。

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