ホタルを人工ふ化 20年前から取り組む 春日の畑義一さん

2014.06.05
ニュース

 ホタルが舞う人里を残そうと、 畑義一さん(59)=丹波市春日町下三井庄=がゲンジボタルの人工ふ化に取り組んでいる。 20年ほど前から始めたもので、 校長として勤務する西小学校の理科の授業でホタルの生態を児童に説明するなど、 環境教育にも生かしている。 畑さんは 「ホタルが生息できる環境を、 子どもたちのためにも残さなくてはいけない。 それが自然を大切にすることにつながると思う」 と話している。

 新井小学校に勤務していた20年ほど前、 兵庫丹波の森協会などがすすめた 「ホタル飼育観察事業」 に取り組むことになり、 当時担任していた6年生とホタルを飼育した。 児童たちと一緒にホタルの生態を学び、 夏休みも返上して飼育に取り組んだ結果、 翌年には多くのホタルの光を見ることができたという。 以降、 転出先の学校でも飼育を続け、 自宅でもホタルの繁殖に取り組むようになった。 飼育を通じて地域の自然の尊さや大切さを見つめ直したという。

 毎年5月中旬から下旬にかけて成虫を雌雄10匹ずつほど捕獲し、 虫かごの中に入れる。 虫かごの中には、 山で採取したミズゴケを敷き詰め、 霧吹きで水を吹きかけ乾燥を防ぐ。 捕獲から10日ほどで交尾し、 ミズゴケに卵を産み付けるという。

 虫かごは、 水を張った発泡スチロールのケース上に設置。 虫かごの底をくり抜き、 植木鉢の底に敷くネットを取り付けることで、 ふ化した幼虫がネットの網目から水面に落ちる。 水の中には隠れ家となる石を入れ、 エアーレーションで酸素を送る。

 カワニナをエサに与え、 水温が30度を超えないよう、 風通しの良い場所で管理し、 2日に1回は水を替える。 「幼虫が気になって、 何日も家を空けるような旅行はできない」 と笑う。

 台風が多く発生する10月までは自宅で飼育し、 11月ごろに同川に幼虫を放流する。 「来る日も来る日も、 水槽をのぞいて育てた幼虫。 放流するときは大事な娘を嫁にやるような心境。 次の年に美しい光を放って舞っているのを見るとうれしくなる」 と話す。

 3年前から、 下三井庄自治会の公民館事業の一つとして、 ホタルの生態などを話し、 鑑賞会を行っている。 畑さんは 「今後はホタルの個体数を調査したり、 他地域に出かけて飼育の仕方を学びたい。 生態もわからないことが多いので、 まだまだ勉強すべきことは多くある」 と話している。

 

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