物流機器のレンタル、 販売を行う 「ワコーパレット」 (本社・大阪市、 羽山謙造社長) がこのほど、 過去に発生した地震波を再現できる 「3軸起震装置」 を同社兵庫営業所 (丹波市山南町応地) に導入した。 耐震素材の製造、 販売を行う 「プロセブン」 (大阪市) と共同で企画、 「カヤバシステムマシナリー」 (東京都) が開発した。 14日には同営業所で公開テストを行った。 自社の機器の耐震性試験を行って製品開発に生かしたり、 他社からの試験依頼も受け付ける計画。 学校関係の見学も検討している。 民間企業が大規模な起震装置を持つのは珍しいという。
「3軸起震装置」 は、 同営業所内にある倉庫に設置。 水平方向や垂直方向への同時加震ができ、 阪神大震災や東日本大震災の地震波の再現も可能。 3メートル×1・6メートルの震動台に、 耐震性を調べたい物を置く。 高さ約5メートル、 重さ6トンまでの物を載せることができるという。 実験物に反射板を取り付け、 実験室内に設置された8台のカメラで動画を撮影。 加震時の実験物の動き方や速度などが分析でき、 安全な製品の設計や開発に生かせるという。
ワコーパレットは3年ほど前、 地震時に物流倉庫内の物が崩れ落ちないようにする耐震機具を開発。 その効果を確認しようと、 プロセブンに実験を依頼したところ、 機具が大きく、 検証することができなかったため、 共同で起震装置を企画することにした。
「物流倉庫は物をできるだけ詰め込むので、 働く人の安全を考えずに高く積む場合が多い。 人の命を最優先に考えた耐震機具を作り、 その検証をしたかった。 机上では大丈夫という結果が出ていても、 実際に揺らす実験をしなければわからないことが多かった」 と、 羽山社長。 分析したデータは可能な限り公開するという。
公開テストには、 関係者ら約50人が出席。 震動台の上に家具やテレビを置いて揺らす実験をしたほか、 物流倉庫にあるラックを載せて地震時にどのような動きをするのかテストした。 羽山社長は 「目の前で実験したデータは、 社会の役に立つと思う。 このような大規模な装置が丹波にあるということを知ってもらえれば」 と話している。
実験内容などにもよるが、 150万円ほどで耐震性の試験を受託する。 すでに数社から申し込みがあるという。