今月12日、 丹波、 篠山両市の一部地域でビニールハウスなどの倒壊をもたらした突風について、 神戸地方気象台は、 「ダウンバースト」 か 「ガストフロント」 現象による可能性が高いとする分析を行っていることがわかった。 また突風のほかにも大きな雹 (ひょう) による農作物被害が出ていることも明らかになった。
ダウンバーストは積乱雲などから生じる強い下降気流で、 地面に衝突して周囲に噴出する突風。 強い雨や雹を伴うことがある。
ガストフロントは積乱雲などから噴き出した冷気と周辺の空気の境界で突風を伴う現象。
同気象台は被害翌日の13日に調査班を派遣し、 現地調査した。 両現象の可能性を上げたことについて、 ▽活発な積乱雲が通過中だった▽被害地域は断続的だが面的に分布していた▽漏斗雲の目撃や耳に異常を感じたなどの 「竜巻」 を示唆する情報は得られなかった▽風は急に強くなり、 10分以上続いたという証言があった―などを根拠とした。 また風速は17―32メートルだったと推計している。
この突風で篠山市栗柄地区ではビニールハウス3棟が倒壊したほか、 農業用の小屋が吹き飛び、 神社の木が折れるなどした。
同気象台は、 「竜巻を見たという話もあったが、 おそらく風で雹が渦を巻いたように舞ったものだと考えられる」 とし、 「同じような気象条件になれば、 今後も同様の突風が吹く恐れがある」 と注意を呼びかけている。
また苗折れ、 枝折れなど農作物への被害も大きく、 丹波市農業振興課によると、 市内では柏原、 春日地域の農作物被害面積は約126ヘクタールに上り、 総被害額は1400万円ほどになるという。
特に春日町中山、 松森、 東中、 国領、 柏原町柏原、 小南で被害が大きく、 水稲が121ヘクタールのほか、 収穫前のスイートコーンやナス、 枝豆やブドウが大きな被害を受けた。
春日町中山の農家、 小橋季敏さん (43) の農場では、 夏野菜のナスやピーマンなどが大きな被害を受けた。 「露地トマトは全滅かもしれない。 遅植えのコメも収量に響くと思う。 ナスは、 雹にさらされずに生きている部分だけは何とか収穫できそうだが、 例年に比べると2カ月は収穫が遅れるだろう。 自然のことなので仕方ないが、 とにかく頑張るしかない」 と前を向いた。