天然素材で家つくる 土壁、漆喰に曲線の意匠 篠山市沢田の奥村勝哉さん

2014.07.24
ニュース丹波篠山市

完成した自宅と奥村さん夫妻。外見も室内も曲線が多用されている=篠山市沢田で

「奥村左官店」 (篠山市沢田) の奥村勝哉さん (31) が、 土壁や漆喰などの天然素材を使い、 日本の伝統的な 「在来工法」 で自宅をつくり上げた。 上から見ると3つの丸い屋根がつながっているように見えたり、 廊下がS字になっているなど、 さまざまな個所に曲線を多用した意匠。 左官の道に入って5年の奥村さんは、 「まだまだ修業中の身だけれど、 自由な発想でこんな家もつくれるのかということをたくさんの人に知ってもらいたい。 ぜひ気軽に見に来てほしい」 と笑顔で話している。

自宅の建坪は約30坪。 4メートル、 6メートル、 8メートルの円が串だんごのようにつながった形状で、 漆喰の外壁も左官業ならではのきれいな曲線を描く。

内壁は竹を縦横に編んだ 「木舞 (こまい) 下地」 に土壁を施し、 断熱材には石灰を混ぜたもみがらを使うなど、 天然素材にこだわっている。

玄関、 リビング、 寝室、 子ども部屋、 トイレ、 風呂、 物置を備え、 どの部屋にも角がなく、 圧迫感がない上に、 建坪以上に広く感じる。

父、 功さん (57) の跡を継ぐため、 2010年に会社員から左官職人に転身した勝哉さん。 功さんの案内で、 「カリスマ左官」 と呼ばれる職人、 久住章さん (京丹波町) 宅を訪ね、 左官の技を駆使した意匠に衝撃を受け、 「いつか自分も家を建てるなら久住さんの家のようにしたい」 と憧れたという。

勝哉さんのイメージを岡田工務店 (日置) が図面化。 土壁や漆喰は功さんや職人仲間とともにこつこつと仕上げ、 約1年かけて念願の自宅が完成した。

今年3月には芽久見さん (28) と結婚。 一風変わった新居に、 芽久見さんは、 「最初は 『丸?』 と思ったが、 夢があると思った。 これからこの家のようなあたたかい家庭を築きたい」 と笑顔。 功さんは、 「大変だったが、 息子は自分でつくったことで充実感を感じているのでは」 と目を細める。

奥村さんは、 「在来工法の家はすっかり少なくなったが、 発想次第で、 デザインも機能も持たせることができる。 この家が左官や建築にも新しい風を吹き込むきっかけになれば」 と期待を寄せていた。

 

 

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