T字形の石室発見 県内5例目、最古級 春日の「山田大山古墳群」

2014.08.10
ニュース丹波市

県内では5例目となる「T字形」の横穴式石室を持つ「山田大山5号墳」=兵庫県丹波市春日町山田で

兵庫県教育委員会は8月7日、 発掘調査を進めていた丹波市春日町山田の 「山田大山古墳群」 で、 朝鮮半島の影響を残す横穴式石室を持った古墳が見つかったと発表した。 県内最古級の横穴式石室と考えられ、 発掘調査に当たった県まちづくり技術センターによると、 横穴式石室の導入期の様相を明らかにする上で貴重な資料になるという。

同古墳群は、 これまで1―4号墳の4基が確認されていたが、 本格的な調査は行われていなかった。 砂防堰堤工事に伴い、 堰堤が築かれる位置にあった 「2号墳」 を、 6月下旬ごろから同センターが調査。 発掘を進める中で、 2号墳の北側に新たに円墳があることがわかり、 「5号墳」 と名付けて調査を進めていた。

同センターによると、 5号墳の墳丘は直径約8メートル、 周濠を含めると直径11メートルほど。 石室は幅2・8メートル、 長さ約1・3メートル、 高さ1・2メートルで、 石室内と外部をつなぐ通路 「羨道 (せんどう)」 の幅は60センチ、 長さ1・3メートル。

築造時期は6世紀初めごろで、 横穴式石室古墳の中では、 市内で最も古いと考えられていた 「多利向山C―2号墳」 (同町多利) よりも古いという。 渡来系の人によって築造されたと考えられる 「T字形」の横穴式石室をしており、 同形状の石室が確認されたのは県内5例目。 石室内からは副葬品とみられる 「坏 (つき)」 と呼ばれる、 直径12・5センチの須恵器を含む7点のほか、 滑石 (かっせき) 製の臼玉も出土した。

同センターは 「現在の春日町を領有・管理していた春部 (かすかべ) 氏は、 渡来系氏族とつながりが深いと考えられる和邇 (わに) 氏の一氏族。 山田古墳群や多利向山古墳群に見られる特異な石室の存在から、 この地域と渡来系氏族の関係は古墳時代までさかのぼる可能性がある。 また、 5号墳は石室の石の積み方が技術的に未熟で、 横穴式石室の導入期を知る上で貴重」 と話している。

10日午前10時から、 発掘調査現場で説明会が行われる。 同古墳群調査事務所 (TEL0795・74・3846)。

関連記事