大山の歴史見直そう 来年フォーラム開催 東寺の荘園

2014.08.10
ニュース丹波篠山市

来年11月開催の 「荘園文化フォーラム」 について協議する実行委員会のメンバー=兵庫県篠山市大山新で

かつて京都・東寺 (とうじ) の荘園だった兵庫県篠山市大山地区の当時の様子などが記された古文書 「東寺百合文書」 がこのほど、 「ユネスコ記憶遺産」 に推薦された。 来年夏ごろまでの登録が確実視されている。 これを機会に大山地区では、 荘園を起源とした地域の歴史文化を再認識し、 まちづくりにつなげていこうと来年11月15日、 大山小学校周辺を会場に 「荘園文化フォーラム」 を開催することを決めた。 5日には、 同小で初めての実行委員会を開き、 フォーラム開催の趣旨や目的、 内容などを話し合い、 意思の統一を図った。

大山地区は845年 (承和12年) 9月に真言宗の総本山、 東寺の荘園 「大山荘 (おおやまのしょう)」 となった。 平成の初めまで行われたほ場整備事業によって、 大山荘の面影は薄れたものの、 同事業と関連して行われた文化財調査によって文書と現地の正確性を裏付ける多くの発見があった。 地区内に残るため池や田畑、 遺構などから、 古代から中世にかけての歴史が明らかにできる全国でも貴重な地域という。

「東寺百合文書」 は、 8世紀から18世紀までの約1000年間にわたる、 約2万5000通に及ぶ古文書群。 日本の仏教史、 寺院史などに関する貴重な文献がまとまっている史料として1997年に国宝に指定された。 東寺文書には、 9世紀から16世紀初頭までの大山荘に関する文書が約600点残されているという。

実行委には、 地域の民話や伝承を掘り起こして発表している 「大山昔ばなしの会」 や大山郷づくり協議会、 自治会長会などの代表17人が出席。 実行委員長に酒井隆明篠山市長を選任したほか、 フォーラムの素案や準備スケジュールについて話し合った。

フォーラムは、 200―300人の参加規模とし、 東寺文書と大山荘をテーマとした基調講演や、 大山の伝統芸能の発表のほか、 東寺が荘園を開いた他地域の自治体と連携して歴史文化を生かしたまちづくりの事例発表や郷土の伝統食体験などを計画。 来年春には大山荘跡をめぐるウオーキングイベントを行うことなどを決めた。

委員からは 「フォーラム自体は1日で終わるが、 準備を進めていくなかで、 地域の歴史文化を広く紹介できるように取り組み、 ふるさとを見直してもらういい機会にしたい」 「地域の人にどうやって関心を持ってもらえるようにするかが最大の課題」 などと意見が出た。 次回の実行委員会は来月予定している。

篠山市内では、 大山荘のほかに、 荘園として近衛家領 「宮田荘」、 東大寺領 「後川荘」、 京都祇園社領 「波々伯部保」 が確認されている。

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