兵庫県篠山市東新町出身のプロボクサー、 角谷淳志 (29) =金沢ジム=が9月14日、 同市郡家の篠山総合スポーツセンターでタイ・ライトフライ級1位のダウット・マノプカルンチャン (19) とのノンタイトル10回戦に臨み、 4ラウンド2分31秒TKO (テクニカルノックアウト) でダウットをマットに沈めた。 初の地元開催とあり、 約520人の大声援を背にしながら鮮やかな勝利。 熱気渦巻く会場に向かって、 「地元で試合をするという夢が叶い、 さらに勝ててよかった。 ご協力、 ご支援いただいたみなさんに感謝したい」 と語った角谷は、 「必ずベルトを持って帰って、 この恩に応えたい」 とさらなる飛躍を誓った。 今後、 12月に東洋太平洋タイトルマッチ開催を目指す。
角谷のことを知る人々の前で始まった地元戦は静かな立ち上がり。 1ラウンド、 2ラウンドと、 角谷は手数も動きも少ない相手に対して、 ステップを使って間合いを取りながら、 時折、 左のジャブと右ストレートを浴びせる。
3ラウンドに入って、 ダウットの手数も少しずつ増えてくる。 しかし、 それは角谷の術中にはまっている証拠だった。
4ラウンド。 誘いに乗って懐に飛び込んできたダウットに対し、 一度バックステップを入れてさらに間合いを縮めてからカウンターの右が炸裂。 一度目のダウンを奪う。
勢いに乗った角谷は、 立ち上がったダウットを一気にロープ際まで追い詰めると、 さらに強烈な右フックと、 とどめの左フックを浴びせてマットに沈めて圧巻のKO勝ち。 会場総立ちの大歓声が鳴り響く中、 高々と拳を掲げた。
昨年9月にはメキシコでWBC (世界ボクシング評議会) ライトフライ級タイトルマッチに臨み、 4回TKO負けを喫した。 昨年末の再起戦で同じくタイの選手をKOして再起への道を歩みだした。
そして迎えた地元戦。 「負けたら引退」 と公言していた角谷は、 のしかかる重圧を自らの拳ではねのけ、 最高の形で勝利を飾った。
リング上でマイクを持った角谷は、 「ボクシングを続けられるのは応援があるから。 これからもよろしくお願いします」 と述べ、 観客に向かって深々と頭を下げた。
冴城辰弥トレーナーは、 「2人でずっと練習してきた一番得意なパンチで勝利できた。 でもまだまだ相手をコントロールして勝てるはず」 とさらなる高みを期待。 所属ジムの金沢英雄会長は、 「地元でヒーローになった。 東洋太平洋、 そして、 世界戦を実現させてやりたい」 と話していた。
地元壮行試合実行委員長の粟野義範さんは、 「あのKOならば、 世界にもいける。 今後の活躍に期待したい」 と喜びの声。 角谷の父、 角谷慶治さんは、 「地元のみなさんにここまでしていただいて、 とてもうれしい。 自分の夢に向かってがんばってもらいたい」 と話していた。