地域住民やグループが山から伐り出した木を買い取り、 薪や材木、 木工品として地域に循環させる仕組みを作る事業を行うNPO法人 「丹波グリーンパートナー」 (能口秀一理事長) の設立総会が12月16日、 氷上住民センターで行われた。 県の法人認可を取得後、 来年4月から活動が本格化する。 8月の豪雨で土砂が崩れ、 甚大な被害を受けた市島町前山地区をまずモデル地域とする考えで、 災害からの復興も兼ね、 循環型の地域づくりを広げる。
伐り出した木を、 同法人が運営するストックヤード 「木の駅」 に搬出すれば、 トンあたり6000円 (予定) で買い取る。 森林所有者への還元分を買取額に少しでも上乗せできないか検討中。
初年度は、 前山地区と青垣地域内に 「木の駅」 を整備する予定で、 将来はさらに増やす意向。 搬入された材で薪を作り、 農業用ハウスなど薪ボイラーの設置が可能な事業所に働きかけたり、 一般家庭に薪ストーブを普及させるなど、 薪の販路開拓に努める。
建築や加工用材になる良質な木は、 製材所や加工業者へのルートを作ることで、 6000円より高く買い取ることも可能。 このため、 木を伐る人が良質な立木を見分け、 用途に応じた規格で搬出できるようにアドバイスもする。 チェーンソーの安全講習会も開く。 木を伐り出して整備された里山を環境教育に活用したり、 薪ボイラーのハウスで野菜を栽培する農家を支援するなど、 森林との関わり方を考えるサポートをする=図参照。
会費は、 個人が入会金3000円、 年会費3000円、 団体が入会金5000円、 年会費3万円。 賛助会員は年会費のみで、 個人3000円、 団体1万2000円。 会費と市からの補助金、 薪販売などの事業収入で運営する。 市からの補助金は徐々に減額されるため、 事業収入をいかに増やすかが課題となる。 事務局は氷上町常楽に置き、 スタッフ数人を雇用する。
木材コーディネーターでもある能口理事長 (氷上町常楽) は、 「良質の木材まで薪にしてしまうのではなく、 森林を生かす業へと意識を変え、 いろんな形で森にかかわる人を増やす仕組みをめざしたい」 と話している。
丹波市が2011年に策定した 「市地域新エネルギービジョン」 では、 木質バイオマスエネルギーを重点エネルギーの一つと位置づけた。 これを受けて市は林地残材集材システムの調査などを民間に委託、 新法人の設立を見越して 「地域おこし協力隊」 を採用するなど準備を進めてきた。 今年5月に新法人の設立準備委員会を開き、 11月に正式合意した。
能口理事長のほかの役員は次のみなさん。
▽副理事長=宮川五十雄 (市島町乙河内) ▽理事=婦木克則 (春日町野村) ▽監事=大地 (山南町小野尻)