島根・隠岐に「島留学」 3年間の経験を本に 園田分出身の渡邊杉菜さん

2015.01.11
ニュース丹波篠山市

 兵庫県篠山市園田分出身の渡邊杉菜さん (17) が、 「島留学」 として全国から生徒を集めている島根県・隠岐島前 (おきどうぜん) 高校に通い、 最終学期を過ごしている。 これまでの学校生活や日常生活をまとめた本 「スギナの島留学日記」(岩波ジュニア新書) を出版。 渡邊さんは 「3年間の良い思い出作りになった。 お世話になった隠岐や高校のPRができてうれしい」 と話している。

 隠岐諸島の海士 (あま) 町にある隠岐島前高校は統廃合の危機を背景に2010年度から、 島留学を受け入れている。 地域資源を生かした教育や公営塾の開設など、 地域と一体になった人材育成で全国から生徒を集め注目されている。

 渡邊さんは丹南中学校2年生の時に、 隠岐島前高校を見学した父親から同校のことを聞き、 「島の人たちとの触れ合いで人見知りが直るかも。 海が好きな自分にぴったり」 との思いから関心を持つようになった。 3年夏に同高生が企画、 運営する4泊5日の島ふれあいのツアーに参加。 「ホームステイや島歩きでキラキラと光り輝いている自然や心優しい島の人々との出会い」 で同校への進学を決めた。

 入学後は寮生活で、 「親と離れてさみしかったり、 自分で何でもしないといけないので、 つらいこともあったが、 さまざまな地域から来た同級生や先輩後輩と過ごし、 自分とは違う新たな視点に気づき、 異なる考えの人とうまくやっていくためのコツを身につけた」 という。

 また、 公立塾では、 「社会人経験者がスタッフをしていて、 勉強だけでなく、 進路や将来についてアドバイスをくれる」 「学校と連携し、 もう一度復習でき、 力が付く」 「自分の興味があることや将来のことを調べたり、 プレゼンテーションの仕方などが学べる」 など、 特長ある学習システムを体験。 また、 島ふれあいのツアーを企画、 運営する同校の 「ヒトツナギ部」 に所属。 同書では、 ツアーの準備や運営、 ツアーの内容などを書いている。

 このほか、 海に行ったり、 食べ歩きをした休日の過ごし方や、 島の四季や好きな場所と食べ物、 お世話になった町長や 「島親」 (里親) など、 多岐にわたって島の自然や文化、 人を紹介している。

 同出版社の編集者が島おこしの取り組みを見ようと、 2013年夏に海士町を訪れた時、 遊覧船で渡邊さんと出会ったのが出版のきっかけ。 編集者は 「思い切って一歩を踏み出し、 そこで新鮮な経験を積む―若い時のその一歩がどんなに大きな意味をもつことなのかを少しでも感じ取っていただければ」 とあとがきに書いている。

 渡邊さんは島で学んだことをきっかけに研究者を志し、 国立大合格を目指している。

 800円 (税別)。 通販サイト 「アマゾン」 や大手書店で購入できる。

 

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