新水源の使用認める 丹波市会が水道予算可決 除マンガン装置整備費含む

2015.03.29
ニュース丹波市

 丹波市議会定例会が3月27日開かれ、同市青垣町東芦田新水源の水に含まれるマンガンを除去する装置の設置費用約4400万円を含む新年度水道事業会計予算案を、 賛成14、 反対5 (議長を除く) の賛成多数で原案のとおり可決した。 同水源の水から高濃度のマンガンが検出されたことから給水地域の青垣町佐治、 芦田、 氷上町幸世地区から 「今まで通りの水が飲みたい」 と新水源の使用に反対する住民運動が起こっているが、 議会は新水源の使用を認めた。 今後は、 市がいかに給水地域住民の理解を得るかが焦点となる。 定例会は同日、 新年度一般会計予算案などを原案どおり可決し、 閉会した。

 水道事業会計予算案に反対したのは、 日本共産党議員団の西本嘉宏、 西脇秀隆各議員と、 給水地域から選出の足立克己、 太田一誠、 臼井八洲郎の各議員。

 討論では反対の立場から西脇、 足立、 臼井各議員が登壇。 「住民の理解を得ないまま予算計上するのは、 住民感情を逆なでする行為」 「なぜ今まで通りの水が飲めないかが素朴な疑問」 「住民は十分な説明なしには納得できない」 などと述べた。

 一方、 土田信憲、 林時彦、 太田喜一郎、 平井孝彦、 田坂幸恵各議員が賛成討論を行ない、 「市全体に水を安定供給するための施設整備だ」 「水道法に適合する安全を確保するためにマンガン除去装置は必要」 「市長の 『関係住民に対し丁寧に説明する』 との言葉を信じる」 などと述べた。

 採決後、 前川豊市議員から同予算執行について、 「地域の理解が得られた上で行なうこと」 とする付帯決議案が提出されたが、 「予算特別委員会の報告の中でも触れており、 あえて動議を出す意味がない」 との意見が多く、 賛成8、 反対11の賛成少数で否決された。 予算案に反対した5人と、 前川、 太田喜一郎、 平井各議員が賛成した。

 予算案が承認されたことを受け、 辻重五郎市長は取材に対し、 「議員それぞれが判断されたことを真摯に受け止める。 今後は、 自治会などを通じて丁寧に事業内容を伝えていきたい」 と話した。

 市水道部によると、 当初計画通りに新水源の水を飲料水として使用する方針を出してからは初となる住民説明会を25日、 辻市長も出席して青垣町小倉地区で開催したが、 理解は得られていないという。 今後も関係地域の自治会などに出向いて理解を求める方針。

 水道ビジョンに基づく水道施設等統合整備事業の一つで、 合併のスケールメリットを生かして水源が乏しい春日地域に水融通をはかるのがねらい。

 配水計画は、 氷上地域の氷上南浄水場から1760トン、 中央浄水場から880トン、 桟敷浄水場から1460トンの計4100トンを春日に送る。 また、 青垣地域の市原浄水場の1900トン、 西芦田浄水場の2750トン (東芦田新水源からの1000トンを含む) を青垣町佐治、 芦田、 氷上町幸世地区に送る―というもの。

 過去の実績などに基づき、 適度な余剰分も含めて安定的に供給できる水量を見込んだ1人あたりの1日最大水量を486リットルに設定。 この水量を市内全域で確保できるような水道事業の計画を立て、 国の認可を受けている。 氷上、 青垣地域を含む 「中央上水道区域」 の計画は2008年に認可を受けた。 市水道部は取材に対し、 「国の認可を受けた計画通りの水量を確保するには、 新たな水源は不可欠」 として理解を求めている。

 25日に行われた市議会予算特別委員会 (藤原悟委員長) においても同会計予算案を、 賛成13、 反対5 (議長、 委員長を除く) の賛成多数で可決した。 日本共産党の西本嘉宏議員が、 同装置の設置工事費を削除する同予算案の組み替えを求める動議を提出したが、 賛成少数で否決された。

 

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