国指定選択文化財 「丹波布」 を所有する丹波布技術保存会。 10年あまり、 総会も開かれないまま休眠状態にある同会を再興しようと、 佐治自治協議会が音頭を取り、 総会開催に向け会員募集などの準備を進めている。 1日には保存会の事務所となる拠点を同町佐治中町に開設した。 織る技術を持った人以外にも広く会員を募り、 青垣の財産を後世に引き継いでいく。
同会の前身は、 1954年に佐治の名士ら9人が立ち上げた 「丹波布復興協会」 (翌年に技術保存協会に改称) で、 57年に国の文化財指定を受けた。 その後、 84年に丹波布の第一人者、 足立康子さん (故人) らが、 工人 (織り手) で組織する 「丹波布技術保存会」 として再興したものの、 技術を持つ人が少なく、 会として活発な活動はほとんどされなかった。
2004年に青垣町公民館の呼びかけで、 保存会が再び立ち上がったが、 総会を1度開き、 同年に理事会を、 06年に理事会を開いたのを最後に再び休眠した。 今も規約上は、 丹波布伝承館に事務所があり、 会長は丹波布伝承館の館長 (青垣支所長) のまま。 保存会が休眠したままでは国指定選択文化財の維持が厳しくなる懸念があり、 民間主導でもう1度、 保存会を蘇らせることにした。
丹波布伝承館で2年間技術を学んだ卒業生に保存会への協力依頼の文書を送付した。 市民からの入会を募るべく、 自治協で準備を進めている。 保存会再興の一つとして旧青垣町医師住宅だった一戸建てを市から佐治自治協議会が無償で貸与を受け、 一室を保存会の事務所と活動場所に充てる。
1日付で市から鍵を引き渡された。 足立篤夫自治協会長は 「佐治の名士が保存会の原型を作り、 足立康子さんが織り、 丹波布再興の始まりは佐治の中にあった。 丹波布の保存、 伝統技術を伝える活動拠点になれば。 地域の人間も加わり、 活動を側面支援しみんなの集まる場所にできたら」 と期待を語った。
伝承館の元指導員と卒業生有志でつくる 「技術者協会」 は会員31人がそろって保存会に入会する。 堀ノ内美佐子代表は 「地域のみなさんが力を貸して下さったことはありがたく、 それに応えられるようにさらなる技術向上に努力する。 地域の方と身近に顔を合わすことで、 より身近に丹波布を感じてもらえる。 地元の人に気軽に糸紡ぎをしてもらえるような企画も考えたい」 と喜んでいる。