中兵庫信用金庫が中小企業の賃上げと人材確保について実施した調査で、今春賃上げをした事業所は21・7%で、75・7%が行わなかったことが分かった。2・6%は未回答。420社から回答を得た。
賃上げした業種別割合は、製造業30%、卸売業15・6%、小売業17・6%、サービス業30・7%、建設業19・7%、不動産業6・5%=実数は表参照。
賃上げ実施理由は、「待遇改善」が57・1%、「自社の業績改善を反映」が26・4%など。実施しなかった理由は、「検討したことがない」が36・2%で最多。次いで「自社の業績」「景気見通しが不透明」と続く。これまでに「賃上げを実施済み」は5・7%だった。
賃上げ実施決定の判断過程は、「代表者1人の判断」が48・6%で最多。「幹部間での協議」が31・1%。「従業員との個別協議」が12・8%。「労働組合との団体協議」は2%だった。
賃上げに踏み切る条件(複数回答)では、「業況改善」が42・4%でトップ。次いで、「景気見通しの不透明感の払拭」21%、「従業員の定着・士気高揚の必要性の増大」12・5%と続き、「同業種や同相場の賃金相場の改善」や「人材獲得競争の激化」などは3・3―5・3%と賃上げ判断の条件には弱かった。
どんな状況になればより積極的に正社員を採用するかの問いには、30%が「自社の業況改善」と回答。次いで、「欠員の発生」(18・4%)、「景気見通しの不透明感の払拭」(18・3%)、「従業員の高齢化の進行」(10・9%)など。「そもそも積極的な正社員採用を行うつもりはない」も13・6%あった。
人材定着をはかるため必要な対応(複数回答)は、「働きやすい職場環境づくり」が33%で最多。「給与面の待遇改善」(18・1%)、「業務の魅力向上」(13・7%)、「給与以外の福利厚生面の待遇改善」(9・1%)などと続いた。「特に対応の必要性を感じていない」も16・7%あった。