冬至を迎えた12月21日朝、多紀連山・小金ヶ嶽から丹波地域全体を覆う雲海を撮影した。
今年、写真集「丹波篠山 霧海」を自費出版するなど、多紀連山からの雲海の撮影に詳しい小林典幸さん(75)=篠山市和田=の案内で、午前5時45分ごろから登山を開始。日の出直前の午前6時55分ごろに山頂へ到達した。
名前の由来がよくよく理解できる絶景が眼前に広がった。縁に行くほど青黒く、まだ夜の色をまとっている霧と、雲から突き出た黒い山々が島のように連なる姿は、瀬戸内海を彷彿とさせた。
午前7時1分。東の空が橙色に染まり始めると、赤銅のような太陽が昇る。光を受けて、“海”が金色に輝く。前日の雨と放射冷却で気温が一気に下がった時にだけ見ることができる自然がつくり出した芸術だった。
太陽が昇ってから霧は真綿のようになり、気温の上昇に伴ってか、波のようにうごめきだした。音のない海が一年で最も短い朝を告げた。(森田靖久)