兵庫県篠山市は、篠山に古くから受け継がれている郷土料理をまとめたレシピ本を発行した。「昔から各地域で親しまれてきた郷土料理を後世に“正確に”残していきたい」との思いから制作。編集・企画を手掛けた市立中央公民館は、「伝統食を作るということは、篠山の文化を伝えること。レシピ本を通じて、多くの方々に郷土料理作りを楽しんでもらえたら」と話している。5月30日から始まる料理教室「郷土味学講座・伝承コース」のテキストとして用いるほか、4月6日から一般販売も始める。1300円(税込み)。
本のタイトルは、「よろしゅう おあがり」。「召し上がれ」という意味ではなく、「ごちそうさま」に対しての言葉で、食事を作った側が「よくぞ私の料理を食べてくださいましたね」という感謝の気持ちを込めた篠山などで使われている方言。
A4判フルカラーの64ページで、1000部作った。2015、16年度の郷土味学講座伝承コースで実際に作ったメニューの中から選りすぐりの57品目を掲載。「旬の地元食材を味わってもらいたい」という考えから、季節ごとの郷土料理と、現代風にアレンジした料理の調理手順を解説している。春は「ふきのほろ和え」など11品目、夏は「揚げなすのとろろかけ」など9品目、秋は大山地区の天内芋(サトイモ)、住山地区の住山ごぼうを使った「いものこ汁」など14品目、冬は篠山の冬の味覚の代表「猪汁」など18品目を紹介。1ページに1品掲載し、レシピのほかに黒大豆や山の芋、猪肉など地元食材についての説明もしている。写真をふんだんに使って、分かりやすさを追求し、盛り付け例として掲載している料理写真の器には丹波焼と王地山焼、ランチョンマットには丹波木綿を使用するなど、伝統工芸もPRしている。
DVDも添付し、「山の芋の黄金揚げ」など5品の郷土料理の調理シーンを動画で収録。住山ごぼうや天内芋の収穫風景などもおさめている。
問い合わせなどは、中央公民館(篠山市網掛、TEL079・594・1180)。