兵庫県篠山市大芋地区の奥山で、大阪からIターンした夫婦が10年近くかけて少しずつ手作りで建てた店「喫茶・軽食 牧舎」(TEL079・558・1388)がオープン。飲食店の少ない地域でもあり、地域の人たちがほっと一息つきに訪れている。誰でも気軽に来てほしいと、スロープを作ったり、メニューには点字シールをはるなど、障がい者にも配慮した工夫を施している。
店主は樋山和夫さん(69)、慈子さん(61)夫婦。和夫さんは何十年来の趣味が木工。将来は田舎でのんびり暮らし、終の棲家は自分で建てようと思い描いていた。
10年ほど前、たまたま通りかかった雛壇になった土地が目にとまった。地権者を訪ねるなどし、紹介されたのが今の場所。和夫さんは、「回りに家がなく、南向きで、沢水が出ていた。生きていけると思った」と笑う。
大阪と篠山を行き来しながら“夢”に着手。テントで暮らしながら土地を拓き、まずは寝るだけに使う小屋を建てたり、沢水を利用した風呂を造るところから始めた。
5年ほど前からいよいよ建物の建設に入り、基礎を固めるところから全て手作業。そのうち、地元の人たちに来てもらえるようにお店にしようと話し合ったという。湿気対策にと基礎を高くしたところ、見晴らしがよくなり、お気に入りの風景に。その方向に一畳ほどの大きなガラスを2枚はめ込み、カウンター越しに見る田園風景が店のウリになった。