篠山市 泉集落に「寺子屋」現存 西嶋忠一さん方の一角

2018.03.27
ニュース丹波篠山市

篠山市内では唯一現存しているとされる、西嶋さん方の寺子屋=兵庫県篠山市泉で

兵庫県篠山市泉の西嶋忠一さん(82)の自宅の一角に、江戸時代に「寺子屋」として使われた建物が現存している。郷土史に詳しく、篠山市文化財保護審議会会長を務める今井進さん(69)=同市佐貫谷=は、「私が知りうる限りでは、篠山市内で寺子屋として建てた建物で現存しているものとしては唯一の存在。県内でも珍しいのでは」といい、「建築された年代は江戸後期と“若い”が、篠山の教育史を語る上で非常に価値ある建物。調査を進め、文化財指定をした上で大切に保存していくべき物件と考える」と話している。

忠一さんは西嶋家の8代目。曽祖父にあたる第5代・満次郎が大正3年(1914)に西嶋家の系譜を書き残しており、その中に寺子屋を建てた記述がある。

その記述をかいつまんでみると、「寛政10年(1798)生まれの第2代・中兵衛は、農業の合間に篠山藩士で儒学者の駒澤撫松を師として学び、晩年、寺子屋を開いた」とある。

今井さんは、「晩年とあるのは天保年間(1831―45年)初期を指していると思う。寺子屋が建てられたのはこの時期では」と推測し、「この時期は、庶民の教育を奨励した篠山藩4代藩主・青山忠裕の時代に合致する。身分に関係なく学問に触れることができた時代で、一農民が藩士に学びを請うことができた当時の教育環境を、西嶋さんの系譜からも感じ取ることができる。当時、篠山の学力は相当高かったと想像する」と話している。

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