アルト歌手 足立志穂さん

2002.12.15
たんばのひと

「第九、集大成で歌う」
アルト歌手 足立志穂さん  (東京都在住)
 
(あだち・しほ)1979年 (昭和54年) 青垣町生まれ。 県立西宮高校、 2002年東京藝術大学音楽部卒業。
 
 「とにかく歌が好きなんです。 1年に数回舞台に立ちますけど、 一番幸せな瞬間です」。 23日、 丹波の森公苑ホールで催される 「第九」 演奏会に、 アルトソロとして出演する。  外資系のPR会社で働きながら毎晩自宅で練習を重ね、 徐々にテンションを上げてきた。 「第九は初めて。 一生懸命暗譜しているところです。 ドイツ語も、 これまではイタリア語、 フランス語ばかりで初めてなので、 友人から発音をチェックしてもらっています」。 23歳とは思えないほど、 落ち着いた古風な雰囲気。
 「NHKの歌のお姉さん」 に憧れ、 県立西宮高校に音楽科があると聞いて進学した。 3年間、 早起きして青垣町の実家から片道2時間半かけて電車通学。 「好きな音楽が毎日できて、 どんなに厳しくても楽しかった。 皆勤賞をもらったんですよ」。 高校3年の時、 県の独唱コンクールで最優秀賞。 次々と声楽コンクールを制覇して芸大に。
 プロの歌手をめざしたが、 大学院進学に失敗。 自分の歌が点数で評価されるのが納得いかない。 ずいぶん悩みもしたが、 「しばらく歌を離れて自分を見つめなおしたい」 と、 今年はその区切りの年に。 「今まで全速力で走ってきたので、 少し休んで自分を取り戻したい。 これまで一生懸命やってきたことで人間的に成長できた。 たとえ歌の道に戻らなくても、 別にもったいなくはない」 と達観してから、 「第九」 に集中できるようになったという。
 プロへの道は険しく、 才能さえあれば、 というわけにはいかない。 「父は私の舞台のビデオを、 毎晩のように何回も見るらしいです。 だから今の気持を分かってもらえるかどうか心配。 丹波の恩師や友人に、 23日には是非聴きに来てほしいと知らせました。 これまでの集大成として、 しっかり歌います」
 「いたずらで、 インターネットで氏名検索をしていたら、 丹波新聞のホームページに私の名前が出ていて、 大学の友達がわーって言いました」。 地方出身者は地元の人たちから応援してもらえて、 都会育ちより恵まれている、 と思う。 今度のコンサートも 「丹波のお陰」 と顔をほころばせた。

(上 高子)

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