「今日のあなたは絶好調! 何をやってもうまくいくよ」―。兵庫県篠山市の西紀小学校の保健室前に「ガチャガチャおみくじ」が登場し、児童たちの人気を集めている。コロコロと転げ落ちてきたカプセルを開けると、健康管理や学校生活で気を付けることなどをユーモアたっぷりに書かれたくじが入っている。保健室は職員室とも隣接しており、用事を済ませた児童たちが“今日の運試し”をしてから、にやけ顔で教室に戻っている。
ミラクルデーから大凶まで25パターン
「昼休みに運動場でスキップをすると、先生にほめられることがありそう」「給食の時間に、ダジャレを一つ言ってみよう。人気者になれそう」「ろうかを走ると友だちとぶつかって、いたい思いをしそう」「トイレのスリッパをならべると、今日はハッピー!」「けんかしている友だちがいるなら自分からあやまってみよう」など、最高の「ミラクルデー」から「大凶」まで25パターンある。
製作したのは、養護教諭の大西有子さん。健康や保健、学校生活や校内の安全に関することなどをおみくじにして3年前から児童たちを楽しませている。「『歯をみがけ』『廊下は走るな』『うがいをしろ』など、言われつくされてきたことを言っても、子どもも嫌になるだろうし、説教じみていて、自分も嫌。楽しみながら言葉を受け止め、気を付ける子が一人でも出てくれば」と話す。
本物のガチャガチャやネット見て研究
過去2年は、おみくじカードを引く単純なものだったが、今年は雑誌で見かけた「ガチャガチャ」スタイルのおみくじに挑戦することに。冬休みに材料を仕込み、雑誌のとおりに作ってみたが、どうしてもうまくいかず、段ボールの中にジグザクに坂道をつけて、順にカプセルが落ちる仕組みに落ち着いた。「冬休みの宿題ですね」と笑い、ショッピングセンターに本物のガチャガチャを見に行ったり、インターネットで研究し、完成にこぎつけた。
告知をしなくてもガチャガチャの前では、見つけた児童たちが順番待ちし、大西教諭はカプセルを補充したり、“メンテナンス”に追われることもしばしば。「足音がしないように階段を下りないと、大変なことになりそう」という「小凶」のくじが出て、「こんなん引いてしもた。どうしよう」と担任に相談しに行った児童もいると言い、「本当にかわいい」と目を細める。
大西教諭は、「研修会や雑誌で気になったことの真似をしているだけ。子どもたちが素直に喜んでくれる顔が思い浮かぶ学校だからできること。素直に反応してくれる、楽しんでくれている姿を見るとうれしいですね」と話している。