兵庫県の丹波市消防本部は18日、胸痛を訴えた市内の39歳男性を病院に搬送中、降りるべき自動車道のインターチェンジを誤り、2つ先のインターまで行き、引き返して、別の病院に搬送したものの、30分ほどの収容遅延が発生したと発表した。男性は収容先の病院で死亡した。収容遅延と男性の死亡の因果関係は分かっていない。
同消防本部によると、同日午前4時30分に同市柏原町柏原の男性から119番通報を受けた。男性は自宅近くで道路に立って救急車の到着を待っていたという。
男性は胸痛を訴えたため循環器対応と判断し、市内の県立病院に依頼したが収容不可能の返答。そこで、受け入れが可能で、同市と府県をまたいで隣接する京都府福知山市の病院に向け、午前4時52分に搬送を開始した。
丹波市内の舞鶴若狭自動車道を走行中の午前5時4分、男性が心肺停止状態となり、助手席の隊長(42)は後部席に移動して、別の隊員と共に除細動を施すなど救命処置を実施した。
そんな中、運転していた機関員(27)が、本来なら「福知山インター」で降りるべきところを、思い違いにより直進し、1つ先の「綾部インター」に差し掛かったところで隊長にルートを確認。隊長から綾部インターで降りるように指示を受けたものの、すでに降り口を通過しており、2つ先となる「舞鶴西インター」に向かった。
その後、舞鶴西インターがある同府舞鶴市内の2病院に収容を交渉したが、受け入れが可能な病院がなく、同自動車道を引き返し、同府綾部市の病院に午前5時55分に収容された。男性は救命処置を施されたが、午前6時43分に死亡が確認された。
降り口を間違えたことや引き返したことで、降りる予定だった福知山インターから同自動車道を約40キロ余分に走行。男性宅から本来搬送するはずだった福知山の病院までの距離と比べた場合、総移動距離で33キロ余分に走った。
機関員は、福知山市の病院には5回ほど搬送したことがあるという。同本部は、近隣市の病院への搬送にはカーナビは使っていなかった。
同市消防本部の小森康雅消防長は「市民への不安が生じた。誠に申し訳ない」と陳謝した。