昨年11月からの記録的な少雨で、水需要が少ない冬場にも関わらず、兵庫県丹波市内の一部地域が渇水に見舞われている。県と市が、同市春日町大路地区で節水を呼び掛ける異例の事態となっているほか、家庭用井戸水も市内のあちこちで水量が減ったり枯れたりしている。水がなくカラカラの川もある。4月から始まる田植えへの影響を心配する声も上がっている。
1月の降水量、平年値の「5分の1」
昨年11月の市内(同市柏原町)の月降水量(気象庁アメダス)は、1976年に観測を始めて以降、最少の4ミリと平年値の20分の1だった。12月は64・5ミリと平年値をやや上回ったものの、1月は24日まで10ミリと平年値の5分の1にとどまっている。
この影響で三宝ダム(同市春日町)は、貯水率が49%(24日)と、2013年6月以来50%を下回った。県丹波土木事務所は24日、市や地元自治会長、農会長らを集めた渇水対策調整会議を開き、地元に節水を呼びかけることと、河川維持のために行っている放流の水量を毎秒1リットルまで絞ることを決めた。通常は毎秒11リットルで、毎秒1リットルまで絞るのは05年9月以来。
会議では、放流水量を減らし取水制限など生活に影響が出ないよう求める意見や、春からの農業への影響を懸念する声が出たという。ある自治会長は、「天気はコントロールできないので悩ましい」と、貯水量回復を願っている。
水確保できずモロコ養殖中止に
井戸水をくみ上げコイ科の魚「モロコ」を養殖していた同市氷上町の安達晴太郎さんは、水が確保できないとして3月で飼育を止める。深さ約5メートルの井戸の半分―3分の1ほどあった水が11月に枯れた。
現在は底から30センチほどたまっている。水道水を使って100キロほど飼育しているが、繁殖はもうさせないという。「豊富な井戸水があるから養殖ができた。水道水では続けられない。モロコの事より農業用水が心配だ。ため池やパイプランがなく、地下水を揚水している。まとまって降ってくれないと米が作れなくなる」と心配していた。
市内の水道設備業者によると、降雨量が少ない冬場に井戸の水が出なくなることはあるが、昨年は11月から相談が入るようになったという。