ひしめく”小さな春” ニホンヒキガエルが産卵

2019.03.14
ニュース丹波篠山市地域

耕作放棄地の水たまりにひしめき合うように産み付けられたニホンヒキガエルの卵塊=兵庫県篠山市南矢代で

兵庫県篠山市の山際の耕作放棄地で、ニホンヒキガエルの卵塊が確認された。わずかなくぼみの水たまりに、ひも状の卵塊がひしめき合うように産み付けられており、春の訪れを告げている。

研究者によると、卵塊は5メートル以上にもなるという。1つの卵塊の中には直径2・5ミリほどの黒っぽい小さな卵が無数に詰まっており、1週間後のふ化を静かに待っている。

産卵場の近くには、繁殖に参加していたと思われる数匹がうろつく姿もあった。

産卵場周辺をうろつくニホンヒキガエルの雌雄(上がオス)

ニホンヒキガエルは大きさが8―18センチぐらいと、在来のカエルの中では最大級。昆虫やミミズなどを食べる。目の後方に、白色の有毒物質を出す耳腺を持つ。跳躍力が弱いため、移動は“歩き”が多い。

篠山市内では2―3月、水たまりや田んぼなどの止水で産卵。繁殖場にはメスの数倍の数のオスが集まるため、しばしば「カエル合戦」と呼ばれる激しいメスの奪い合いが繰り広げられる。産卵後は「春眠」をし、本格的な春の到来を待つ。

地元、篠山東雲高校の理科教諭で、日本爬虫両棲類学会会員でもある田井彰人さん(50)によると、産卵場所となる湿地が減少し、コンクリート製の水路に行く手を阻まれることなどから、個体数が減少しているという。

県レッドデータブックのCランクに指定されている。

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