今から115年前、兵庫県篠山市今福の山中に落下した「隕鉄」について学習を進めてきた地元、岡野小学校4年生35人が隕鉄を多くの人に知ってもらったり、身近に感じてもらおうと、隕鉄をモチーフにしたキャラクター「隕鉄くん」(仮称)を考案した。実際に落下現場を調査したり、レプリカにふれるなどしてきた児童たち。「隕鉄は宇宙からのプレゼント。地元にあるすごい歴史を校内はもちろん、たくさんの人に知ってもらうきっかけにしていきたい」と意気込んでいる。
キャラクターは隕鉄の顔に足やボタンは黒大豆、襟は黒枝豆のさやにするなど、隕鉄と特産を組み合わせ、おでこには鉄の元素記号「Fe」を配した。
「岡野号」と呼ばれる隕鉄(直径約18センチ、重さ4・74キロ)は、1904年(明治37)4月7日午前6時30分ごろに落下。当時の記録によると、「空中に雷鳴のごとき、凄然たる音響を聞くと同時に、一個の大球、西方より飛来り、瞬時にして巨砲を発したるがごとき、響きありて震とうす」と記録されている。
落下地点の山の持ち主だった畑勝蔵さんが京都大学に隕鉄を寄贈。成分が調査され、94・85%が鉄で、さらにニッケルが4・44%しかない(多くは7%以上)という隕鉄の中でも希少なものということが判明した。
昨年、畑さんの孫、利清さんの案内で落下現場を訪れたり、当時の話を聞いた児童たちは、調査結果を学習発表会で披露した。しかし、低学年には難しい内容だったと感じ、親しみやすいキャラクターをつくることを通して、隕鉄の存在を理解してもらおうと企画。選抜キャラクター3案を制作し、全校生や新1年生となる幼稚園やこども園の園児も対象にしたアンケートを行った。
結果、「隕鉄くん」が得票1位となり、キャラクターに決定。このほど、全校生に披露された。アンケートでは、「小さい子でも書きやすい」「丸みがあってかわいい」「黒豆があって篠山らしい」などの声があった。
考案した女子児童は、「家族でキャラクターを考えていた時に、お父さんが『Fe』を書いており、意味を聞いたら『鉄だよ』と教えてくれたので描いた。これからキャラクターをもっとみんなに広めたい」と笑顔で話していた。