兵庫県丹波市青垣町の民家で、「ハンカチノキ」が見ごろを迎えている。名前の通り、白いハンカチのような形をした葉が風に揺れている。
中国の四川省、雲南省付近が原産のミズキ科の落葉高木。木に引っ掛かったハンカチのように見える部分は花びらでなく、「苞葉(ほうよう)」と呼ばれる葉。球状をした多数のおしべと1つのめしべを、苞葉が包むように守っている。
18年前、自然保護関係の仕事をしていたこの家に住む谷勉さん(77)が、知人から譲り受けた種を植えた。
種は滋賀県朽木村で知人が採取したもの。10粒植え半分が発芽、残りの半分は1メートルほどの樹高に育った時に枯れ、唯一1本だけが残った。
「種は梅干し大で、クルミのように固い種。やすりで磨いて、種が割れやすくして植えた」と当時を振り返る。
樹高が8メートル近くに達してからもなかなか咲かなかったが、3年前に初めて咲き、3年連続で開花した。
谷さんは、「知人には、種から育て開花まで25年かかると言われたが、15年目から咲き始めた。苞葉の形も変わっているし、独特の強い香りがするおもしろい木」と話している。